第2話 ごはん

 うぐっ。





              ひぐっ。






        うぅ……。







 あ、来てくれたんだね!

 ごめんね、泣いてるところ見せちゃって。

 昨日思い出したこと、また思い出しちゃってたの。

 泣かないと、この気持ちを消化できないから、必要なことなんだ……。


 とりあえず、もう大丈夫になったから、今日はまた別のこと思い出してみるね。今日もまた寝るまでにちょっと思い出して感情を消化するんだ。


 うーん。





 何かあったかなぁ。




 初めて出逢ったこと、一緒に帰ったこと。

 そのことを思い出してたけど、帰るまでにも色々やることあるよね。

 授業受けたりごはん食べたり。

 あ、ごはんといえば。


 お弁当一緒に食べてたんだった。

 うっ。


 えと、確か、お昼休みに椅子持ってきて、一緒に食べてたの。

 ふたりで。他にも友達はいたけど、他の表面上の付き合いだけだったから、こうやってご飯を食べるのはいつも思歩とだったなぁ。


 でね、お弁当の交換とかしてたんだよ!

 どんな感じだったかなぁ。確か……。


「その卵焼きおいしそー! よかったら何かと交換しない?」

「いいよー」

「どれする?」


 こんな感じにいつもやり取りしてたからお弁当の中身も覚えてるの。

 思歩しほのお弁当にはトマトにブロッコリーにスクランブルエッグ、たこさんウインナーって感じのカラフルなお弁当のことが多かったなー。


「ウインナーちょうだーい」

「はーい。どーぞ、取って~」


 そう言ってお互いにお弁当を近づけて、具材をお箸でちょん、と取ったりしてたなー。

 その後「おいしー!」ってお互いに笑顔になってね、その笑顔がほんとに可愛くて!


 でもね……もういないんだ……。そばに思歩はいないんだ……。

 この時間、夜の眠る時間にもいないんだ……。

 今どうしてるんだろう……。うぅ……。


 ひくっ。でも、今日はあなたがいるもんね。

 頑張って泣かないようにするね。


 あなたはごはんって誰かと一緒に食べたりする?

 家族と一緒に食べたり、友人と一緒に食べたり、学校や会社の知り合いと一緒に食べたり。もしかしたらひとりで食べることもあるかもしれないね。


 他の人と一緒に食べたらお話も弾んで楽しいよね。流行りの感染症で最近はあんまりお話できなかったりもするかもだけど。

 ひとりで食べるのだって自分のペースで味わって食べちゃえばちょっとした幸せな時間を過ごせるよね。


 もしかしたら時間に追われちゃって全然食べる時間がないー! って人もいるかもしれないけど、そういう人にはお疲れ様って言ってあげたいな。大変な中がんばってて偉いね~、とも言いたいけど、あなたも頑張ってるんだもんね。こういう時はどう言ったらいいのかな……。とにかく、自分のことを大切にしてあげてね。


 まあ、私の場合はこうやって一緒にお昼ご飯食べて思歩と仲良くなった気がするなー。


 好きな音楽の話もした。

 思歩はK-POPが好きでね。私も聞いてみて好きになっちゃったの。最近は音楽自体聞いてないけど……。聞いちゃったら思い出しそうで嫌だし……。


 好きな本の話もした。

 思歩は百合小説が好きで、それって女の子だと特に他人に言いにくいことな気がするんだけど、私には「由未ゆみには特別に教えてあげる」って言って教えてくれたの。おすすめの本とかも紹介してくれてね、それを読んだりして私もドキドキしてね……。














 あ、あ。



  いや!  いや!  いやー!!!


    やだよぉ……。




 はっ、はっ、はっ、はー、はー。

 はっ。えっと、ごめんね。

 すー、は、はー、す、すー、はー、は、はー。

 ちょっとまってて。息が戻んない。



 す、すー。

 は、はー。



 すー、はー。

 すー、はー。


 うん、落ち着いてきた。

 ごめんね、怖がらせちゃって。


 ……嫌いになっちゃった?

 いいよ。どうせ今はもう私のこと好きな人なんていないもん。

 うぅ。苦しいけど事実なの。せめて私が私のこと好きでいてあげられたらいいんだけどね……。


 思歩と一緒にいてドキドキしたことも思い出しちゃって、こんな感じになっちゃった。これもいつかちゃんと思い出さないと……。


 だって、この苦しみから、しがらみから抜け出すために頑張らないとだから。こうやってすごく辛い気持ちになることもあるけど、ちゃんと私のかてにしたいの。無かったことになんてしたくないの。


 ずっと思い出さなければ、もしかしたらそれでも苦しい気持ちから解放されるのかもしれないけど、それってほんとに虚しいと思うの。だから頑張るね。


 でも、今日はもう限界……。

 ちゃんと止めなきゃ。

 だから、あなたのことを考えさせてね。




 あなたも夜は泣いてたりするのかな?

 それとも疲れてそのまま寝たり?

 もしくは幸せな気持ちのまま眠れるのかな?


 私も幸せな気持ちで眠れたらいいな……。

 前、幸せな気持ちで眠れたのっていつだっけ。ううん、今は思い出しちゃだめ。本当は未来への希望だとか考えて眠れたらいいのかもだけど、それはできないから、せめてあなたが幸せな気持ちで眠れるように願っておくね。


 あなたが幸せで眠れますように。

 そして、いつか私もそうなれますように。


 おやすみなさい。





 もし応援コメントを書いてくれる優しい人がいたら、私(由未)が答えるよ!

 今日話題に出した、誰かとごはんを食べる時のお話でも、好きな本や音楽の話、眠る時のお話でも、感想でもなんでも大丈夫だよ!

 あなたの感情、大切にするよ。

(作者にコメントしたい時は「作者さんへ」みたいに書いてくれたらいいよ!)

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