第12話 ばっちい物を食べてはいけません!
ラスターとウインクの強さが結構強い事が判明したので、二匹を森に放つ事にした。
大きくなってからは家の庭だけでは狭くて有り余る好奇心と体力が発散出来ず、外に出たいとお願いするように森と俺達の事を見ている事が多くなったからだ。
今まで現れたゴブリンは俺が小石を投石しただけで死んだので、ゴブリン自体はそんなに強いモンスターでは無さそうだし、オークも俺が玉砂利攻撃で簡単に倒せるので、二匹のステータスなら問題無いだろうと。
サクラのエアガンは反則級なのであれは参考にならないけどね。
周囲にゴブリンなどが居ない事を確認するとエクステリアの出入り口を開けて、二匹を森に放つ。
しばらくは家の周囲をウロウロしていたが、やがて二匹は楽しそうに森の中を走り周り始めた。
「あんまり遠くに行くんじゃないぞ!」
『くぉーん』
可愛い鳴き声で返答をする二匹。
それにしてもあの二匹は森の中を凄いスピードで走っているから、もしあんなのに襲われたら即死級だなと改めて思った。
忍び寄られて、ガブっと一発であの世行だろうな
一応二匹は俺が見える範囲で行動していたが、二時間もしたら何処かに行ってしまい視界から消えてしまう。
「お兄ちゃん!ラスターとウインクのご飯の時間だけど、あれ!二匹は何処に行っちゃったの!!!」
サクラの問いかけに俺も焦る。
良く飼い犬の鎖が切れて行方不明になるとかあるので、二匹も野生に目覚めて何処かに行ってしまったのかと心配になってきた。
サクラも心配になってステータス画面を確認すると、二匹のHPの消費も適正範囲内、従魔設定のままなので心配しないで様子を見ることにしようと説得して二匹を待つことにした。
お昼頃になると二匹が帰ってきたようで、門の外で『ワォン』と鳴いている。
「やっと帰ってきた!、腹空いてるよな!!」
尻尾を振って自慢げな表情で門の前でお座りしている二匹だけど、下を見ると金の腰巻き二匹が転がっていた。
ゲッ!獲物かよ!
サクラもその状況を見て顔が引きつっていたが、彼らの好意を無駄にしてはいけないと微妙な感じで褒めていた。
「ラスター・ウインク獲物有り難うね、でも私もお兄ちゃんもこれは食べられないの、お腹ゲーしちゃうからごめんね」
そんな感じでなだめながら、二匹を敷地内に誘導し「お兄ちゃんそれ片付けてきて!」って感じで目でサインを送るとサクラは敷地内に二匹をつれて餌を与えていた。
「あんなばっちい物を食べちゃ駄目ですよ」
ばっちい物なんて最近使わないけど、赤ちゃん言葉で現存しているのかな?サクラがそんなことを言っていると何となく微笑ましい。
二匹もゴブリンは食べてはいけない物と認識したようで、尻尾を振りながら缶詰タイプの犬の餌を美味そうに食っていた。
さて、俺はこいつらを始末しなければ。
目の前のゴブリンを見て不思議に思ったのは死んでいるけど、アイテム化しないこと。
どのくらい放置するとアイテム化するのか検証するために、三〇分ほど放置してみたが、そのままの状態で残っていた。
ドロップしたアイテムは拾わずに放置したら1日で消滅したので、ゴブリンの死体も2体あったから一匹は俺が試しに金属バットで叩いてみたら、即座にアイテム化した。
何とも不思議な世界。
腰巻きと色の付いた石を回収し、ゴブリンの死体が監視カメラに写るように放置すると、日付が変わる頃に死体も消滅した。
このことから、魔獣やモンスター類同士で殺し合いになった場合はアイテム化せず、たぶんそいつらの食糧となるために少なくとも1日の間はそのままの姿が維持される。
ラスター達の父親オオカミの亡骸は1日以上残っていたと思われるので、種族等によっても異なるのか、もしかしたら父親オオカミは寸前まで生きていたのか…今となっては調べようが無いが、俺達のような食糧目的で殺さない、討伐目的の場合は死ぬと即座にアイテム化する。
先の行動からラスター達が殺した場合はそのまま残るので、最後に俺が何かしらのアクションを起こせば即座にアイテム化する。
そんなシステムが出来上がっているみたい。
悪く言えば悪夢のようなVRRPGの世界なイメージだ。
こっちの世界に来て一ヶ月程度経過したが、未だにエクステリア周辺からは離れられない、今のところ現れたモンスターはゴブリンとオークだけ。
レベルは上げていないが、地球製の武器と防具のおかげで楽々とモンスターを倒す事が出来ているので、ラスターとウインクの二匹が居れば探索範囲も広げられるかもしれない。
このことをサクラに相談するとサクラも快諾。
いい加減飽きたと愚痴をこぼしていた。
元々活動派のサクラからすれば一ヶ月も家に引きこもっているような状態はそろそろ限界だったみたいだ。
引きこもり生活の中、二匹がやってきた事でペットだって普通はそんなに構うこと出来ない位二匹と一緒に過ごしていたし、そんなので愛情いっぱいに育ったラスターとウインクは俺たち兄妹にものすごく懐いている。
ただ、今回みたいに二匹がどこかに行ってしまうと困るので、アマゾンでエアタグのようなビーコン装置を購入し首輪に装着した。
これでスマホがあれば彼らの方向位は解るようになるかもしれないな。
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