第7話 ふざけるな!モンスターども!

翌日、日が昇る。

時間は朝の5時頃、いつもなら鳥の声で目が覚めるが、今日は外からギャーギャー奴等の声が聞こえてきた。


ゴブリンだ!


「お兄ちゃん…たぶんゴブリンだよ、また来ているよ」

リビングで一緒に寝ていたサクラが面倒くさそうに俺を起しに来る。


やっぱりエクステリアをぶっ叩いていてカキンガコン騒音を立てているようだ。


昨夜は全ての雨戸を閉めて寝たから、一階リビングから外の様子が確認出来ないので二階へ移動しバルコニーから外の様子を確認したら…すげー数のゴブリンが家の周りをかこんでいた。


昨日散々倒したので報復とも思われるゴブリンの集団が数にして二百体、その中にはデカイのが4体に帽子をかぶっている奴や、ローブ姿の奴までいるので普通のゴブリンよりも強そうだ。


「お兄ちゃん、たぶんあの帽子をかぶっているはゴブリンエリートでゴブリンの上位種だよ、あっちのローブのはゴブリンマジシャンかな?」


マジシャンって魔法使うのか?


そんなことを思っていると、ゴブリンマジシャンから家目がけて火の玉が飛んできた!

「ファイアボール!?ヤバイぞ!家が燃える!!!」

と俺が心配する必要はなく、やっぱりエクステリア上の透明の壁に阻まれファイアボールは爆散した。


この家には攻撃が当たらないのか効かないのか、完全に守られていると再実感するのだが…


いやいや!このままではマズイ!!飛び散った炎が周りの木々に燃え移ったら森林火災になって違う意味でこの家も危ない事になる!!


今回の戦いは俺達兄妹もレベルアップ後の初めての戦いだ!

ステータスアップがどんな変化を生むのか興味もあるぞ!


「サクラ、あのマジシャン?を先に狙撃してくれる?」

「いいよ!任せて!お兄ちゃん」


サクラはM733改にスコープを付けて50メートルほど先のゴブリンマジシャンに照準をセットすると、そのまま狙撃。


レベルアップでステータスが上がっている関係なのか、サクラは初弾一発目でゴブリンマジシャンに命中させてしまう。


狙撃されたゴブリンマジシャンは何が起きたのか理解する前に倒れて、周りのゴブリン達が大騒ぎを始めるも、サクラが遠距離から魔法攻撃をしてくるゴブリンマジシャンに重点を置き狙撃を続ける。


俺は父さんが用意した地球製玉砂利をバルコニーから投げつけていく。

さすが攻撃力130+90の攻撃力、玉砂利が当たるだけでゴブリン達は悲鳴を上げ倒れていった。


『ゴブリングループ200体を討伐しました。経験値210,000取得しました』


こんな感じでゴブリン退治が終了。



「レベルアップしたからかな?昨日よりも体が軽いし、狙撃も楽だったよ」

サクラの意見と同様、俺も玉砂利を何度も投げたが、それほど疲労感も無いし投げた玉砂利の速度や威力も数段上がっていた。


一応ステータスを確認しておく

【名前】シオン・ヤマノ

【体力】198/20[+180]

【魔力】30/5[+45]

【経験値】300,000/137

体力と魔力は寝ると回復するみたいだけど魔力は全開にはなっていない。

まぁ魔力の使い道がわからないし今のところ関係無し。


ただ経験値が3回の戦闘で30万って何かスゲェな、ドラゴンとかと戦ったら数千万とかなのか?ゴブリンって弱いモンスターだよね。


【名前】サクラ・ヤマノ

【体力】145/15[+135]

【魔力】80/10[+90]

【経験値】300,000/137


サクラも同じ感じだけど魔力値の回復上昇値が俺よりも優れている。代わりに1度の戦闘でダメージを受けて無くても体力が俺は1、サクラは2減っていた。


痛いとかは無いけど、何かをすれば体力は減る物だからと思うけど、数値化されると色々気になる事は気になるわね。


朝の戦闘が終ると、母さんから朝飯の準備が出来たとスマホにメッセージが入る。


「朝ご飯にしようか」

「そうだね!」


光る空間から運ばれてきたのは、ベーコン焼きと目玉焼き、ご飯と味噌汁、それに漬物と言ったありきたりな朝食セット。


それらを食べながら、復活したネット環境を使いネットTVで朝の情報番組を見ていた。

地球でも何か異世界転移みたいな事件がおきていないのかとか、それらが報道されているかと思ったからだ。

サクラはスマホを操作しながらネットニュースを確認中。

朝ご飯中にマナーが悪そうだが、これはサクラの日常。


見ているのがメッセージアプリなのかネットニュースなのかの違い。


でも、情報は無かった。

異世界転移で調べるとアニメやラノベ記事ばかり、失踪・消失等で調べると普通の事件だね。

それ以外となるとオカルト系サイトに行ってしまい、こっちはコッチで魅惑の異世界訪問とか見るからに俺達の欲しい情報とは関係無い話ばかり。


ただ、俺達自身が異世界転移しているので、コッチの様子を匿名で投稿すれば新たな情報源として使えるかもしれないと、オカルト雑誌・オカルトサイト系のアカウントをいくつか取得する事にした。


食事が終り、朝の情報番組を見て食休みをすると、再び外からガキンガキン鈍い音が響いてきた。


窓から外の様子を見ると…なんじゃありゃ!

大柄で相撲取りのような体格の2本足で歩く豚顔の人みたいなやつ。

俺の声でサクラも反応する


「あれはオークかな?」

「オークって何?」

「豚のモンスターかな」


サクラもその程度の認識しかない。


170~180センチ位のデブなモンスターで、口から牙が剥き出しになっていて醜悪な表情が恐ろしい。奴らはぶっとい棍棒を持ち体中イノシシのような体毛で覆われている。

そんなのが10体ほどエクステリア周辺に張り付きブヒブヒ言いながら棍棒でガキンガキンひっぱたいているのだ。


「お兄ちゃん10体だから大丈夫だよね。私も行くけど、弾が無駄になりそうだから後で見ているよ」

「まぁ大丈夫だよ俺に任せておけ」


玄関を開けて外に出ると、オーク達の視線がこちらに向く。顔が怖いからすげぇ怖い。


ただ、食後の休憩時間を邪魔された事もあり、玉砂利を怒りの節分のようにオークに投げつける。

玉砂利が顔面に命中すると「ブキャー!!!!!」と悲鳴を上げこちらを睨み返す。


異変に気が付いたオーク達は怒りを露わにして凶器のぶっとい棍棒さらに強い勢いでエクステリアにたたきつける。


「ブギィィィィィ!!!!!!」

ガキン!ゴキン!バキン!!!!!!

ガキン!ゴキン!バキン!!!!!!


「うるせぇ!やめろ!」

俺が叫んだ所で奴等は叩くのを止めない。


「ブギィィィィィ!!!!!!」


ガキン!ゴキン!バキン!!!!!!

ガキン!ゴキン!バキン!!!!!!


今度は力一杯玉砂利を掴んでは投げ、掴んでは投げを繰り返し、オーク達は何が起こったのか理解する前に全滅した。


『オークキング5体、ハイオーク5体を討伐しました。経験値100,000取得しました。』


オークだと思っていたのはオークキングとハイオークと呼ばれる上位種だったらしい。これはサクラもビックリだ。


こんな感じでゴブリンとオークが交互に攻め込んで来て、15時頃まで一方的な討伐が続いたのだ。


何なんだ!この森は!!!ふざけるな!モンスターども!!!!!

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