僕が付き合ってる彼女は実の娘かもしれないーえっちしてる時の感じ方が、昔の女とまったく同じでしたー
田中京
第1話
7月、うだるような暑さの中、街中を歩く。
僕は緊張した面持ちで、手を繋いでる隣の女の子を見る。
腰まで伸びる、きれいな長い黒髪。整った顔立ち。
何度見ても美人だ。女優と言われても納得してしまう。
本当にこんな美人と付き合ってるのか、という思いと。
本当にこんな若い子と付き合ってるのか、という思いがあった。
彼女、綾瀬京夏は21才の大学生で、僕、藤本啓太は41歳の冴えないおっさんだった。
あまりにも対称的だ。住む世界が違った。違いすぎた。
「今日は私達が恋人になって、初めてのデート。だから、たくさん、楽しもうぜ、おっさん」
京夏ちゃんがニイっと僕に笑いかけ、つないだ手をぶんぶん振る。
その笑みは自信に満ちあふれている、怖いものなんて何も知らないかのよう。
砕けた話し方と相まって、かっこいい系の勝ち気な美人という印象だ。
「そ、そうだね、京夏ちゃん」
「うん? どうした、おっさん? 緊張した顔して?」
「いや、僕みたいなやつが君の恋人で、本当にいいのかなって……」
「デートしてる時に、しょーもねぇこと、考えてんじゃねぇよ、おっさん……」
京子ちゃんは頭をポリポリとかいて、はぁーとため息をつく。
「私はおっさんじゃなきゃダメなんだよ。おっさんがいいから、告白したんじゃん。で、おっさんも私が好きだから告白を受け入れた。つまり、2人は相思相愛。なら、何も問題ないじゃん」
僕をじっと見つめて、そう言う京夏ちゃん。
その真剣な表情に、失礼なことを言ったなと自分の発言を悔いる。
「ごめん、京夏ちゃん。僕、弱気になってた。恋人として君をちゃんと幸せにできるかって……」
「いいって、別に。それより、ほら、デート楽しもうよ?」
京夏ちゃんが僕の手を強く引っ張って、穏やかに微笑む。
僕は強くうなずくと、彼女とのデートを楽しんだ。
ショッピングをして、カフェに行き、水族館に行った。
心地よく幸せな時間だった。
僕といる時の彼女はすごく、楽しそうで、そのことに嬉しい気分になった。誰かに心の底から必要とされる。そう実感することができた。
夕方になって、彼女と分かれると、ひどく寂しい気持ちになった。
彼女と一緒にいる時間が新鮮で、楽しかったからだろう。
彼女に本気で恋するとは思わなかった。
きっかけは、ネトゲのオフ会だった。
そこで、出会った彼女と妙に馬があった。100%ぴったりとはまる感覚があった。
なんというか、気味が悪いくらい、相性が良かった。
初めは、年の差から、彼女と話すことにためらいがあった。
でも、いざ話をすると、時間はあっという間だった。
性格はまったく違うのに、感性や、物事に対する考え方が驚くほど似てたのだ。
だから、会話が驚くほど弾む。オフ会が終わる頃には、まるで、親友のように、親しい仲になっていた。
連絡先を交換した僕らは、それから、何度も会い、デートをした。
そして、先週のデートで、彼女に告白された。理由をきくと、四六時中僕のことを考えてしまうくらい、好きになってしまったからと答えた、
僕も彼女と同じ気持ちだった。
こんな気持ちになるなんて、21年前の初恋以来だろうか。
その初恋は苦い思い出に終わった。
付き合ってた相手と急に連絡が取れなくなって、関係が自然消滅したのだ。
その時の深い悲しみから、僕は人と深く関わることを恐れるようになった。
人を信頼できなくなった。
でも京夏ちゃんが僕の心の壁を壊してくれた。
彼女と一緒なら、大丈夫と思えた。
運命の人と思えた。
彼女は21才で、21年前、この世に生まれた。
僕の初恋が終わった年に生まれた。
初恋が終わった、3ヶ月後に生まれた。
運命的な啓示を感じずにはいられなかった。
年齢や容姿の差なんて、その時、完全に頭から抜けていた。
僕は、感情に任せて、告白をオーケーした。
それを聞いた京夏ちゃんはすごく嬉しそうに笑っていた、
かくして、僕らは恋人同士になった。
帰宅して、一人の家に帰ると、京夏ちゃんの事が恋しくなって、メールを送った。
今日は楽しかったねと、すると、すぐに色よい返事が返ってきた。
僕はそれに微笑むと、次のデートのプランを考えた。
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