第8話 屋外作戦会議

「そう!俺が干渉できないなら!!――干渉できる者……つまりは特異点の物になら干渉できるんじゃないか!――と思ってやってみたらうまくいってしまったんだなぁ~これがッ!――どうだ!天才的じゃね!!」

「――頭悪そうな発想だけど、それで成功したから素直にほめざるをえないね」


おい、そこ!頭悪そうとか言うなよ……マジで頭悪い奴が考えたんだからしかたないだろッ!?


必死に考えて考えた結果、俺ができることを精一杯したんだからな?

す・な・お・に――ほめろやッ!


「まぁでもこのまま契約続けられるのか正直わかんないな……契約して干渉されなくなったとはいえ――俺が殺されたりして、妹ちゃんとかが再契約したらヤンデレになって司がそれこそ大変な目に合うぞ?――司に譲渡した方がいいとは正直思う、そうでなくても何かの出来事で契約解除されたらそれこそやばいし……」


「まぁやり直しがきく僕に預けとけば、奪われたところで時間戻せばいいだけだしね?」


――主人公でもなんでもない俺が持ってるよりかは司の方が安全だしな。


「ならさっそく契約を……」


『ぜぇっっったいだめぇッ!!!!!』


「あ……あたまが――」

「お、おい!大丈夫か!?」

「――あぁ……大丈夫……」


俺の言葉を遮り、サードが突然叫びだす。


テレパス使っているので耳ではなく頭に響くような、強烈な痛みを感じる……

――そのせいで一瞬意識飛びそうになった。


テレパスって耳がキーンじゃなくて、頭を鈍器で殴られたような痛みなのね……

――いやそうじゃなくて!?


『いきなり叫ぶなよ!頭に響くだろ!!』

『ワタシィあなた以外のぉ契約者なんてぇぜぇったい認めないかんねぇ』


――その言葉はとっても嬉しいんだが……俺はただの一般人Aなの!

君の全力を発揮させてあげられないんだって!


それで俺がもし死ぬようなことあれば――殺した奴にサードが渡るかもしれない……

だったら司に渡すのがベストなはずだ!


『なぁ――』

『むりぃ』

『あの――』

『きょひぃ』


――もう聞く耳を持ってくれないようだ……


頑固だな……道具は契約者に似るのか?

俺も親友に指摘されるレベルには頑固だし――めんどくさいのは自覚してるけど……そんなとこまで似なくていいんだよ!


――なら仕方ないか……


『分かったよ……契約はこのまま続けさせてもらうよ――だけど、もし俺から契約離れるときは、絶対司と契約しろよ!』

『離れるぅつもりないけどぉおけおけぇ~』


リスクは高いが俺が使わしてもらうしかない――もしかしたらこのまま俺が使い続けられるかもしれないしな。


――そうなったら今後のシナリオでも俺は行動の幅が広がる。


「悪い、契約の話はなかったことにしてくれ、サードのやつに拒否られた」

「マジで?――というかこの道具しゃべるの!?」

「あぁ――ってそうか!――セカンドって確か口下手すぎてしゃべんないタイプのナンバーシリーズだっけ?」


使い方は契約した時点で分かるから、しゃべる必要は確かにないが……

シナリオの最後まで道具としゃべれること知らないなんてルート数多くあった。


――まして美鈴ルート選んだのなら、一回もしゃべらず終わったからな。


もっとトークしようぜッ!!

 

「確かにしゃべれるね?――なんで話さなかったのさって言ったらセカンドが―――必要か?――とか言ってたよ」

「確かに無駄なこと嫌いだって設定資料にもあったな、時間操作の能力だからか――契約者といる時間が長かったせいでしゃべるの億劫になったらしいよ」


やっぱ同じナンバーシリーズでも違いが出るな……

うちのはおしゃべり、司のは寡黙、ここまで正反対なのも俺と司の関係みたいでわらけてくるな。


「話脱線しすぎたね、まもちゃんがサード手放す出来事あったら速攻で時を戻しとくってことで、この話は終わりにしよ――他には話すことある?」

「――そうだな…」


ヒロインと先に仲良くなる?――いや今の時点で友好深めてもか……


美鈴と紬に関しては好感度マックス状態だし――残り三人のヒロインは6月3日の事件以降じゃないとこの町にいないし――ってそうだ忘れてた!


「明後日の回避しなきゃいけない出来事もう1つあったじゃねぇか!」

「明後日?6月5日から始まる例の首切事件じゃなくて?」

「いやそれよりもヤバいやつがあんだよ!」


共通ルートだと連続首切殺人事件とう道具で起こした怪事件が5日から始まる。


主人公もそれに遭遇して死にかける――

ここでセカンドの力が発動して、シナリオ序盤に戻り、この事件の犯人を追う――というのがまず主人公が最初に解決する事件だ。


だが全ルート攻略したうえで言わせてもらうとこれだけならまだかわいいほうなのである。


なんせ現実世界に神と魔王が降り立つんだもの――まだ人が起こした事件の方が可愛く見えるレベルだ。


「6月3日、ちょうど神具や魔具がこっちの世界にくると同時にこっちの世界にある神具と魔具が発動する――そしてとある奴の体を乗っ取り、神か魔王がこの世界にくるんだよ」

「えっ、マジで!?――いきなりファンタジーっぽくなったね……美鈴ルートだとそんな話1回も出てこなかったよ?」

「――そりゃそうでしょうね……そのルートだと神と魔王が来るのに失敗したルートだし」


正確には、美鈴ルートだと神と魔王が同時に来てお互いがぶつかって対消滅した――って設定資料にも書いてあった。


今回がそれになるとは限らないし、対策はしておくべきだろう。


チラっと公園に置かれている時計を見る。


時刻は午後8時を過ぎていた――

……何気にあれから一時間以上立っていたことに驚いた。


――あたりも暗くなってきたし明日のほうがよさそうだな。


「それじゃあそれの作戦会議は明日にでもしようか――もう遅いし流石にそろそろ帰らないと司が妹に刺されるぞ?」

「冗談きつい――って言いたいけどあの話された後だとちょっとな……紬がかわいそうに思えてきたな……仕方ない、帰ったら可愛い妹のために優しくしてやりますか」

「シスコンきっも――」

「……妹けしかけるぞ?いいのか?」

「やめてください死んでしまいます!?」


そんなバカ話をしながら俺たちはそれぞれの自宅に帰る。

忘れずに連絡先も交換したので、いつでも連絡が取れる状態にしておく。


――今度こそ連絡がとれなくならないように……


この世界でならモブの俺でも親友を助けられると信じて……

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