第2話 マドレーヌ
結菜、俺、嫁子。
この3つは確実に壊せないトライアングルだった。
チームワークが取れていたと思う。
3人が幼馴染同士だったから.....だ。
しかしこの中で俺が付き合っている嫁子が浮気をした様だ。
かなり残念に思うしかなり悲しい。
原型が思いっきり崩れていく。
嫁子もそうだが浮気相手は俺の友人。
どっちもクズに近いと思う。
何でこんな事になってしまったのだか。
「.....嫁子もアイツも信じていたんだがな.....」
トイレに入りながら俺は頭を抱える。
幼馴染の1人の結菜が今、この家に居るので嫁子の浮気の件は結菜には察されない様にしなくては。
彼女は心配性だから俺の事にもずっと関わるしな。
思いながら俺は目の前の吊り下げられているカレンダーを見る。
結菜は今、妹の優樹菜と一緒にリビングに居る。
「ったく面倒臭い事になったな」
そんな事を呟きながら俺は便器からそのまま立ち上がる。
それから俺は天井を見上げながら頭をボリボリ掻いた。
信じられないと思う。
よりにもよって俺の幼馴染が浮気とは、と思う。
何故こうなってしまったのか.....まるで分からない。
浮気したと判断出来ない。
「.....傷が.....痛いな」
そんな事を言いながら俺は便器に備え付けのノブを動かしてから。
そのままトイレから出る。
そしてリビングのドアを開けると目の前の結菜がお菓子を食べていた。
口に頬張っている。
リスかなコイツは.....?
「大丈夫?ともちゃん」
「.....ああ。まあな。大丈夫だ」
後頭部の黒髪を触りながらソファに戻りながら。
友山裕(ともやまゆう)、俺はそう返事をしてみる。
因みに妹の名前は友山優樹菜(ともやまゆきな)というが。
完璧超人の妹と完璧では無い俺だがそれでもそこそこのイケメン。
そして美少女の組み合わせだった。
黒髪の短髪に長髪。
完全に裏表の様な感じの存在の俺達。
そんな俺達を見ながら、?、を浮かべる結菜。
「ともちゃんが何だかずっと落ち込んでいるから心配」
「俺は大丈夫だぞ。何というかいつもより元気だと思うしな」
「そう.....でもその。何かあったら言って」
「そんときゃお前に必ず頼むさ」
そんな感じで言いながら俺は椅子に腰掛けたまま紅茶を飲み始める。
目の前にはマドレーヌが置いてあり美味しそうだった。
手作りらしいが。
外は雨のなのに晴れやかな気分にはなる。
仮にも一応、だが。
「お菓子いっぱい食べてね」
「美味しそうだよな。優樹菜」
「だね。お兄ちゃん」
「うんうん。食べて食べて。夕食が難しくなるぐらいに」
「それは困るぞ。結菜」
そんな感じで笑いながら会話をする俺。
すると結菜が、そういえば最近はどうかな?よーちゃん(嫁子)ともデートとかそれなり?、と聞いてくる。
俺はその言葉にビクッとしながら答えた。
最近.....浮気を疑ってあまり嫁子と話をしていなかったから、だ。
ま、まあな、と。
そうしていると結菜が感じ取った様に、?、をまた浮かべた。
それから、何かあったの?、と聞いてくる。
俺は断りを入れる。
「いや。上手くいきすぎて逆にビックリなんだ。.....それで一瞬だけ言い淀んだ」
「そうなんだね。じゃあ今はあれだ。また今の状況を聞かせてほしいかも」
「そうだな。また話すよその時はな」
それから俺達はマドレーヌを2個と食べ始める。
そして暫く雑談してから。
結菜は帰る為に玄関に向かう。
俺と優樹菜はその姿を見送る為に玄関に来た。
☆
結菜がマドレーヌを何個か置いて帰った後。
俺は静かにコップを洗っていた。
すると、お兄ちゃん。何かあったの、と優樹菜が俺を見上げて尋ねてくる。
俺はズキッと心を痛ませながら、何も無いぞ?、と言う。
優樹菜はジト目をしてから俺を心配げに見る。
「.....お兄ちゃん。そういうの嫌。.....隠しても無駄だから。長い間私と一緒に居るんだから隠せないよ」
「優樹菜?」
「何があったか話して。私達は家族でしょ?」
「まあそうなんだがな。.....でも良いのかなこれを話しても」
「良いの。話してほしい。もしかして嫁子さんと何かあった?.....ずっと悩んでいるのはそれかな」
「.....」
俺は顎に手を添える。
それから考え込む。
すると優樹菜が、お兄ちゃん。私はあまり頼りないと思うけど話してくれたら嬉しいかも、と手を添えてくる。
俺はその姿に目を閉じてから、分かった、と返事をして話す。
それから優樹菜を見る。
「嫁子と付き合っているのは知っているな」
「うん。知ってる。この前知ったけどね」
「そんな嫁子と友人がキスして浮気したみたいなんだ」
え.....、と衝撃を受ける優樹菜。
それから眉を顰める。
俺はその姿にコップを置きながら反応する。
すると優樹菜がまた見上げてきた。
「.....だからお兄ちゃんは険しい顔をしていたんだね」
「そうだな.....すまん」
「ど、の付くドクズだね。そいつら」
嫁子に対して。
そして優に対して静かに怒りを露わにする優樹菜。
俺はその姿に、だな、と返事をしながら苦笑い。
そして優樹菜は、ねえ。お兄ちゃん、と向いてくる。
その言葉に作業を止めてから顔を上げた。
そんな優樹菜は、2人に復讐しよ、と一言だけ告げてくる。
俺は、!、と思いながら優樹菜を見る。
目線を彷徨わせる俺。
「.....しかし.....」
「黒いとそうなるんだね。キスでもお構いなし。というかこのまま黙って居るの?おかしくない?それって」
「でも復讐しても何もならないぞ。俺の怒りが更に爆発.....」
「じゃあ今は怒ってないの?お兄ちゃん。それは違うでしょ」
確かに嘘にはなるが。
思いながら俺は優樹菜を見る。
すると優樹菜は柔和に暗黒の笑みを浮かべた。
これは復讐すべきだと心から思うね、と言いながら。
このまま黙ってお兄ちゃんが居るのはおかしいよ、とも。
「お兄ちゃん。このまま黙って2人を寝取られて幸せにして見過ごすのは良くない。絶対に全てにリベンジしないと」
「.....まあその。犯罪にならない程度には復讐しても良いかもしれないかもな。お前の言葉で目が覚めたが」
「そうだよ。.....お兄ちゃん。このまま黙って居るのはおかしいから」
「もしお前ならどういう策を思いつくんだ」
「私ならこの世界をひっくり返す策を思いつくというか考える。現実的な粘着テープの様にベタベタ粘着した感じの。多分だけど」
そんな言葉に俺は、!、と思いながら優樹菜を見る。
優樹菜はニヤッとしながら、私はお兄ちゃんを蔑ろにしたのが許せないから。裏切り者には鉄槌を、って思うし、と回答する。
本当に漆黒の笑みだった。
退学レベルに追い込んでも良いんだよ、と優樹菜は告げてくる。
俺はその姿に汗を流しながら、そ、そうか、という感じで返事をする。
でも何だか恐ろしさは感じない。
確かにそうだよな、と共感出来る部分があったから、だ。
このまま黙っているのはおかしい、という部分に。
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