第18話 オムライスとチェキ

「オムライスとチェキのセットを販売します!」

「ほう」

「初心者セットで1500デジ! 個別に注文するよりも300デジお得」

「おお! しかし、安くしすぎじゃないかい?」

「そうなの。なので初回ご来店の時だけのお客様だけが注文できるようにします」

「うん。それならいいね。それでリピーターになってくれたら最高だよ」


 メイド喫茶というのは常連のお客様に支えられている。

 他の飲食店もそうなんだけど、お店は常連のお客様の売上の割合が高いのだ。

 アゼルのオムライスを食べてもらえれば、また来たくなる。

 そして、それ以上にリピーターの要因になるのがチェキなのだ。


 メイドさん単体のチェキをソロチェキ。

 メイドさんと一緒に撮影するのをツーショ。

 なんて言ったりする。

 お店によってはソロチェキ500円、ツーショット800円のように料金も違っていたりする。


 けど、『オスティウム』では区別なくお客様がどちらを撮るかは自由に決められる。

 そして、初心者の方にはツーショットで撮るようにしている。

 これがチェキでリピーターを獲得するための秘訣なのだ。


 決して触れることの出来ないメイドさん。

 そのメイドさんがチェキを撮る時だけは限界ギリギリの近くまで寄ってくれるのだ。

 ハプニング的に、あたしも推しの肩が触れた時には、思わず。

 ぐへへ。なんて言ってしまった。


「マミ、どうしたの? 大丈夫? 顔が変だよ」

「ご、ごめん、ごめん」


 推しのメイドさんの事考えて思わずニヤけていたようだわ。


 この日は新規のお客様が1名ご来店し初心者セットを注文してくれた。

 また来てくれるとのことだった。


―――――――――――


9月12日(木)


メイド喫茶『オスティウム』


 料金 1時間1980デジ 延長30分ごと950デジ


 売上

  日別 30260デジ

  月別 30260デジ

  年別 122400デジ


 席数

  28席

  カウンター 6

  テーブル 24


 メニュー

  オムライス(メイドのお絵かきあり) 1000デジ

  オリカク  1500デジ

  チェキ   800デジ

  初心者セット1500デジ


 メイドの心得


  メイドの心得1。

  お客様のプレゼントに遠慮はしない。代わりに全力で喜ぶ。

  メイドの心得2。

  お客様の事は、お客様から話をされるまでは詮索しない。


―――――――――――

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