第48話 新たな三人組
敵……ではないのだろう。白い仮面を付けた三人組の登場により、不思議な時間が流れていた。
さっきまで俺を追い詰めていたボウケンジャイの三人は、すっかり混乱してお互いに顔をチラチラと見合わせている。
「……貴様ら、名を名乗れ!!」
均衡を破ろうと、レッドが問い掛ける。すると、今度は白仮面達がざわついた。
コイツら、名前を考えてなかったのか……!?
こそこそと相談した後、リーダー格の白仮面──たぶん男が口を開いた。
「僕達は……ザ・ファントムズだ!!」
──静寂。
なんだかムズムズするな。白仮面でザ・ファントムズはちょっと……キツくないか。ザだぜ。ザ。
白仮面三人は耳を赤くして様子を窺っている。この空気、どうするつもりだ……。
「カッコつけやがって! お前ら、やっちまえ!!」
カッコつけてたの!? 苦し紛れに厨二病が出ちゃっただけじゃないの!? そんな俺の心の叫びは無視され、戦端が開かれる。
ボウケンジャイの三人が拳銃を構え、白仮面の男が手で印を結ぶ。何処かで見た仕草だ。
「破っ!」
そして、身体が青白く発光した。何が起こる……!?
──何も起こらない。
ボウケンジャイの三人はぼんやりと虚空を見つめている。
「邪!」
白仮面がもう一度、印を結んで声を出す。
「わっ! なんで蛇が!」
「ひいぃぃ!」
「おわっ!!」
拳銃とデバフアイテムを投げ出すボウケンジャイ。蛇など見当たらないが、コイツらには何が見えているんだ?
「うわぁぁああ……!!」
「虫!! 虫がぁぁああ!!」
「きょぇぇえええぇぇえ!!」
三人は一斉に戦隊モノのコスチュームを脱ぎ始めた。背中にチャックがあるのか、必死に手を伸ばし身悶えしながら裸になる。
俺は何を見せられているんだ?
疑問を他所に、ボウケンジャイの三人は地面に転がり全身を掻きむしる。限界が近いのか、口から泡まで吹き始めた。毒でももられた?
「「「……」」」
三人は白目を剥いていっぺんに気を失った。
「大丈夫でしたか? 死ぬ死ぬマンさん!」
ザ・ファントムズの三人が心配した様子で駆け寄ってきた。
リーダー格は俺と同じような背格好の男。残りの二人は女だ。
一人は背の低い黒髪ツインテール。もう一人は長身では髪は白髪ロング。めちゃくちゃ見覚えあるな……。
「あぁ、おかげで助かったよ」
「ウゥ……!」
「良かった!」
少し前まで、24時間ずっと聞いていた声だ。ひどく懐かしい。
「死ぬ死ぬマンさん、こいつらどうします?」
「放っておこう。運が良ければ助かるだろうし、悪ければモンスターの餌食だ。人の命を狙ったんだ。覚悟は出来ている筈だ」
「了解です」
男の声にも聞き覚えがある。
「さて、移動してから状況の擦り合わせをしよう」
裸のボウケンジャイを放置し、俺達は転移部屋へと向かった。
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