第29話 お説教
『なんで音声切ったの……!?!?』
『死ぬ死ぬマン! もっと謝って!!』
『あーぁぁ。マリナちゃん怒らしちゃった……』
『死ぬ死ぬマンはさぁ〜天然だよね?』
『流石に気が付いたわ』
『えっ!? 何のこと?』
『これから拷問タイム……?』
『マリナちゃんの拷問かぁ。懐かしい』
『タケシちゃん……無事でね』
コメント欄はなんとなくマリナの味方のようだ。一体、俺が何をしたというのか……。
「師匠! スマホを触らない!」
「はいっ!」
慌ててスマホをポケットに仕舞い、そのまま覇気に負けて地面に正座をした。
「鎧の人も!」
マリナの声に鎧姿の探索者も礼儀正しく座った。
「で……、なんで怒っているんだ? まさか俺がモフモフ化をしていないからか?」
「関係ありません!」とピシャリ。グミがマリナをなだめる。
「鎧さん、身に覚えはありますか?」
たまらず話を振ると──。
「……あります」
あるの……!?
「師匠。こんな短期間に二回もダンジョンで鉢合わせるなんておかしいと思いませんか?」
「それは……恩返しの為だろ?」
鎧さんを見ると、顔を伏せた。
「違います。鎧さんは、私達を狙っていたんだと思います。私、言いましたよね? 死ぬ死ぬマンチャンネルは狙われてるって」
なんかそんなこと言ってたな。
「鎧さんが、俺達を狙ってたっていうのか?」
「鎧さんは多分、誰かに命令されてやったんだと思います。一回目のトレインも、今日のボス戦も普通に考えればとても危険ですから」
ずっと下を向いたままだ。
「鎧さん……。話してくれませんか?」
「すみませんでした!!」
勢いよく額を地面につけた。そのまま話始めた。
#
鎧さんの長い話を要約すると「債権者に脅されて俺達を襲った」とのことだった。
随分と追い詰められていたようで、警察に行くことも思い付かなかったらしい。ただひたすら、死ぬ死ぬマンチャンネルを狙うことだけ考えていたとか。
何故そこまで余裕がなかったかというと──。
「娘さん、何処のダンジョンに潜ってるんですか?」
──身内を人質に取られていたかららしい。
鎧さんの娘は、あるダンジョン配信者プロダクションの練習生なのだそうだ。寮暮らしをしながら、アイドル配信者のサポートでダンジョンに潜る毎日だとか。自分も、アイドル配信者になることを夢見て。
「秋葉原ダンジョンです」
やはり秋葉原か。アイドル配信者だもんな。
「ちなみに、どこのプロダクションか聞いてもいいですか?」
「……」
鎧さんは言い淀む。それを見て、マリナが痺れを切らした。
「鎧さんは全部丸っと話せばいいんです! 師匠が結局なんとかするんだから! 死ぬ死ぬマンチャンネル見てたら分かるでしょ!?」
いやいや! 出来ないこともあるよ!!
「……プロダクションの名前は"Dライブ"です……」
業界、最大手の名前が告げられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます