終わらない明日へ
うめとう
第1話 平和と戦火
これは世界が平和そのものであった頃の穏やかな日常…
「どうした?もう終わりか?」
「まだまだ!これからさ!」
2人の少年が木剣を交えている
「うわ!」
「また、俺の、勝ちだな!」
黒髪の少年が茶髪の少年との模擬戦で勝ったようだ
「くそ〜また負けた!」
茶髪の少年は悔しそうに呟く
「はは、でも危なかったよ」
「今度は負けないからな!魔法だってもっと覚えるから!」
茶髪の少年が彼に意気込むと黒髪の少年が急に元気がなくなった
「………」
「?どうしたの?」
心配そうに彼に問う…
「ごめん、今度はないんだ、俺元居た国に帰るらしい…父上がそう言ってた」
「そんな…もう、会えないの?」
悲しそうに彼に問う…
「わからない…」
「……ねぇ、○○○はもう剣持ってる?」
とある事を思い付き彼に問う…
「え?持ってるけど…」
「ならさ!鞘交換しない?」
「鞘を?なんで?」
「次に会った時にお互いがわかるようにさ!」
「鞘でわかるかな〜?それに、普通そこは剣じゃないのか?」
「わかるよ!剣は父さんから貰ったものだから…えへへ、これからも剣を続けるんだろ?なら大丈夫!」
「全く根拠がないな…でも、わかった!交換しよう」
彼は笑顔になっていた
「うん!」
「俺、最強の戦士になる!」
「僕も!最強になるんだ!」
「ならこの鞘に誓おう!」
「そこは剣にだろ…○○○らしいな」
「「次に会う時はお互い、最強になっていて決着を着ける!」」
「でも、僕らはいつまでも友達だ!」
「あぁ、どんな事があっても友達だ!」
幼い頃の記憶…決して忘れることのない友との思い出
そして、彼は言っていた通りに国へと帰って行った…
恐らくはもう会うことがないとお互いにわかっていたと思う…けど、僕らは子供だった…わかっているはずなのにまた会えると信じていた、だから約束した…
だが、それは叶わぬ夢となった…
彼の国と僕の国が戦争を始めてしまった…
しかも、ただの戦争じゃない…異常なまでの戦火の広がりよう…周りの国々を次々と巻き込みその炎は世界を巻き込むほどに燃え上がった
最早、世界大戦と言えるほどの規模となり、中立を謳っていた国もどんどん数を減らし、どちらかの陣営へと加わっていった
戦争によって死にゆく人、餓える人、帰る家を失う人…何故こんな不幸な事を振り撒き続ける戦争を国はしているのか、僕には理解出来なかった…したくなかった…
僕も、両親もその事態に恐怖し国を出て数少ない中立国家へと移住することになった
それから更に数年が経ち僕は戦争とは無縁の日々を送って、新しい友達と平和に暮らしていた…筈だった
僕は知らないだけだった…いや、僕だけじゃない、両親も、友達も、この中立国家が戦場になるなんて、その理由が僕らの近くで行われているなんて…
この世界に平和なんてもう何処にもない事…
そして、最悪の再会を果たしてしまうなんて僕は思いもしていなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます