第35話 出発準備

レニスの養女の書類を提出して、町中を歩いて必要な物を探しながら歩いている

「御父様、どうかしましたか?」

ミーナがアーレルの横でアーレルの横顔を見ながら聞く

「レニスを連れていくと、歩きは無理か…馬車が必要か? ラドルス達は走れば良いが…」

アーレルが考えながら呟く

「馬車を見に行きましょう…セリーナちゃん、馬車を見に行きましょうね」

ミーナが笑顔でセリーナを見て言うと、セリーナが振り返る

「馬車より走った方が早いです」

セリーナが笑顔で言うと、全員セリーナを見ている

「え? 走った方が?」

ミーナが驚いてセリーナを見詰めている

「強化して走ったら、馬車なんかより早く走れます」

セリーナが笑顔で言うと、ケントとキリーアとラドルスが顔を見合わせて、思い浮かべ苦笑いしている

(確かに早いかも知れないけど…馬車を追い越すセリーナちゃんとフィーネちゃんを思い浮かべると…どんな噂が広がるか…)


「レニスちゃんは走れないですよ」

ミーナが慌てて言う

「え? 御父様が背負えば良いです! リーシアお姉ちゃん頑張って走って下さい」

「はい! 頑張ります! 背負われたら気分が悪くなりますから…」

リーシアが慌てて言う

(2度と走って移動したくないです…背負われたら恥ずかしいし…吐きそうになります)

「御父様…何が?」

ミーナが苦笑いしてリーシアを見ている

「走れば数日で村に到着するだろうから、確かに早いな」

アーレルが笑っている

「御父様に聞いた方が悪かった…レニスちゃんの為に馬車にしますか?」

ミーナが頭を押さえながら言う

「急がないからな! ゆっくり旅を楽しもう」

アーレルがミーナを見て言う

「ゆっくり? は~い、楽しみにしています。御父様と一緒に寝れます」

セリーナが笑顔で言うと、フィーネも笑顔で頷いている。レニスがキョロキョロしている

「セリーナ!! 嬉しいぞ」

アーレルが笑顔でセリーナを見ている。ミーナがアーレルの横顔を見ながらムッとした顔をしている

(御父様、セリーナと一緒を喜びすぎです。一緒に居るのを喜んでください)


屋根付きの馬車と馬2頭を買い、必要な荷物を買い集めてレニスの荷物を取りに向かってから宿屋に帰る

「今日は早かったな」

宿屋の主人がアーレルを見て言う

「明日、町を出る事にしたから、朝パンを大量に焼いておいて欲しい…馬車を納屋に入れても良いか?」

アーレルが硬貨を出して言う

「旅立つか? 納屋は自由に使ってくれ、パンも焼いておく」

宿屋の主人が笑顔でアーレルを見ている

「1人増えたのだが、良いか?」

アーレルがレニスを見て言う

「構わないぞ、一緒に寝るのか?」

宿屋の主人が笑顔で言う

「3人で寝ます」

セリーナがフィーネを見てからレニスと手を繋いで言う

「食事は任せておけ」

宿屋の主人が笑顔で言うと、キリーア達が馬車を納屋に入れに行き、アーレル達は部屋に向かう


翌朝、アーレル達は馬車に荷物を乗せている

「御父様、最初の御者は誰がしますか?」

ミーナが微笑みながらアーレルを見ている

「そうだな…ラドルスとケントとキリーアは走るから、リーシアと2人ですれば良いか」

アーレルが笑顔で言う

「え! 御父様!!」

キリーアとケントが慌ててアーレルを見て叫び、ラドルスが苦笑いしている

(御父様だから言いそうと思っていたが…)

「どうした? 鍛練は必要だぞ」

「御者をしますので、御父様はゆっくり休んで下さい」

ケントが慌てて言う

「リーシアちゃんと2人で御者します。 リーシアちゃん良いですよね」

キリーアがリーシアを見て叫ぶ

「もう少し鍛練した方が良いだろ? 体力は大事だぞ」

「野営するなら、夜の番の順番も必要です。 疲れて寝てしまわない様に御者をさせて下さい」

ケントがアーレルを見て言うと、ミーナが笑っている

「御父様、御者して貰いましょう、レニスちゃんと話をしないといけないですよ」

ミーナが笑いながら言う

「レニスとか…そうだな…セリーナゆっくり話をさせて貰っても良いのか?」

アーレルがセリーナを見ている

「御父様、早く乗りましょう」

セリーナが笑顔で言うと、馬車によじ登っている

「ケント、キリーア交代で御者を頼んだぞ」

アーレルが笑顔で馬車に乗ると、ミーナ達も馬車に乗っている


ラドルスが馬車に乗ろうとする

「ラドルスは走るのだろ?」

アーレルがラドルスを見て言うと、みんなラドルスをみている

「御父様、1人だけ仲間外れですか?」

ラドルスが慌てて叫び、助けを求める様にセリーナを見ている

「ラドルス、さっき1人だけ抗議してないですね…走りたかったの?」

ミーナが笑顔でラドルスを見ている

「当然の様に乗らないで下さいね」

キリーアが笑顔でラドルスを見ている

「え? 御父様に文句を言って拳骨は貰いたくない」

ラドルスが慌ててミーナとキリーアを見てから、ケントを見ている

「さっき、御父様はキリーアと2人で交代で御者をやるように言われたから…ラドルスは走るのを認めていただろ?」

ケントが考えながら言う

「御父様、馬車に乗っても良いですよね? 仲間外れは良くないですよね?」

「ラドルス、鍛練は大事だぞ!! 可哀想だから…フィーネ、身体強化と俊足を使ってサポートしてあげなさい」

アーレルがフィーネを見て言う

「はい! 御父様」

フィーネが元気良く返事をして、ミーナ達が爆笑している

「そんな…………そんなに嫌わなくても…」

ラドルスが泣きそうな顔でみんなを見ている

「ラドルスお兄ちゃん、競争しますか? 勝ったら御父様に乗せて貰えるように頼んであげます」

セリーナが笑顔でラドルスを見ている

「セリーナーーー 」

ラドルスが嬉しそうにセリーナを見ている


ラドルスとセリーナが馬車から降りて、準備をすると、合図と共にセリーナとラドルスが走り始める。セリーナが先に到着すると、ラドルスが崩れ落ちる様に座り込んでいる

「御父様勝ちました」

セリーナが笑顔でアーレルを見ている

「セリーナーーー凄いぞ!! 嬉しいぞ」

アーレルが嬉しそうに叫び、セリーナを抱き締めている

「ラドルス、強化魔法様々だな…魔法無しと言わなかった方が悪いな」

ケントが苦笑いしていると、ラドルスが泣きそうになっている



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