第7話 ポーション作りとフィーネ
翌日道具屋に向かうと、工房を女性と子供達が掃除をしている
「あんたが錬金術を使える人だね」
女性が微笑みながら言うと、子供達が見ている
「掃除をしていてくれたのか?」
「貸すのを勝手に決めるからね……掃除ぐらいしてから話して欲しかったね……ポーション作れるなら、稼ぎになるから手伝うよ」
女性が愚痴を言いながら、笑っている。アーレルとセリーナも掃除を始める
アーレルは材料を出してから井戸から水を汲んでくる
「水と迷宮の薬草かい? これで作れるのかい?」
女性が驚きながら見ている
(何を考えている? こんなので出来る筈は無い)
「水を魔力水に変換してから使うけどな」
アーレルが笑顔で言うと、錬金術を使い始め、水が少しずつ宙に浮き上がり始めると、水に淡い光をまとい始めると、容器に集めていく
「は…これが錬金術?」
女性が驚きに目を見開いている
「抽出、変換、浄化を続けて使ったが、本職なら倍の量を簡単にやれるがな」
アーレルが笑顔で説明してから、材料を細かく切り、魔法水に入れてかき混ぜながら錬金術を使い溶かしていく。魔法水の色が変わり、水が少しずつ宙に浮き上がり、水の塊になると、別の容器に入れてから、鑑定をしている
「セリーナ、瓶に詰めるから、手伝って欲しい」
アーレルが言うとセリーナが瓶を並べて、アーレルが液体を瓶に流し込み終わり、セリーナが瓶に蓋をしている
「次も作るよ」
アーレルが笑顔で言うと、別の材料を用意して錬金術を使っている。女性が青ざめ始めている
(ちょっと、本当に錬金術を…今まで見てきた錬金術と違いすぎる…早すぎる…全部成功して連続で精製出来るなんて、何者ですか!!)
道具屋の主人を呼ぶと、並べられたポーションを鑑定している
「この量を1日で…ん? こっちは毒消し、これは麻痺消し!!」
道具屋の主人が驚き、ポーションを見ている
「この程度のデキで悪いですが、買取りを頼みます」
アーレルが笑顔で言う
「買い取るが…材料は何を使ったのか?」
「迷宮のドロップアイテムです。この種類なら冒険者が買ってくれるでしょ」
「まさか…自前のアイテムだけで、これだけの質のポーションを作れるのか? 勿論全部買い取るが………」
道具屋の主人が困惑しながらアーレルを見て言う
「瓶が貯まったら作りに来ますね」
アーレルが笑顔で言うと、セリーナが嬉しそうに見ている。アーレルとセリーナが帰っていく
「何者なんだ!! これだけの質のポーション簡単に作るのか!!」
主人が大声をあげる
「あんた!! とんでもない錬金術士を連れてきたね!! あの早さで連続錬成なんて見たこと無いよ!! 」
「本当は何処かのお抱え錬金術士なんじゃないか? この質のポーションを売りに出すと…他のポーション売れなくなりそうだが…値上げした方が良いのか?……噂に聞く隣国の天才錬金術士の関係者か?」
道具屋の主人と女性が顔を見合わせて、青ざめている
孤児院の前を通り掛かり、セリーナが気にしている
「セリーナどうした?」
「孤児院…あの子大丈夫かな?」
セリーナが孤児院を見ながら言う
「見てから帰るか?」
アーレルが微笑みながら言うと、セリーナと孤児院に向かい、女性が出てくる
「この間の…何か用ですか?」
女性がアーレルとセリーナを見て驚いている
「あの子の様子を見に来ただけだが」
「あの子の…すぐに呼んできます」
女性が慌てて戻ろうとする
「中も見させて欲しい、孤児院の状況も知りたいから」
アーレルが女性の反応を見ながら言う
「え! それは…」
「子供は宝だ!! 虐待は無いよな?」
アーレルが睨んでいると、女性が渋々案内すると、多くの子供達が建物の中に居る
「みんな痩せています」
セリーナがキョロキョロしながら言うと、1つの部屋の前に来て、数人の子供達が部屋の中に居る
「どうだ? 孤児院は?」
アーレルが子供を見て聞く
「え! 寝れるけど…」
子供が暗い顔をしている
「申し訳ないのですが…ギリギリで運営しているので…」
女性が慌てている
「この子は、本当に孤児で間違いなかったのか? 家出とか、事件に巻き込まれてないのか?」
「昨日、兵士と冒険者ギルドに確認取れました。両親共に迷宮で亡くなっています…」
女性が詳しく説明している
「ここで生活するのと、冒険者になるのは、どっちが良いかな? 13歳なら自分で判断も出来るだろう?」
アーレルが考えながら言うと、女性が驚いている
「え! どうにも…ここに居ても怖いです…冒険者なんて無理です」
子供が泣きそうになりながら迷っている
「え! 御父様、同い年なのですか?」
セリーナが驚いている
「相談相手が居た方が良いだろ?」
アーレルが微笑みながらセリーナを見ていると、周囲の子供達がアーレルを見ている
「えーと…冒険者になったら生きていけますか?」
子供が考えながら、アーレルを見ている
「努力次第だ! 2年は徹底的に鍛えてやる! 辛いだろうがな」
アーレルが笑顔で言うと、セリーナがアーレルを見て苦笑いしている
「2年は…才能がなかったら…」
「才能が無いなら誘わない」
アーレルが笑顔で子供を見ている
「冒険者になりたいです…なれますか?」
子供がアーレルを見て言う
「自分で決断したなら、まずは自己紹介するように」
「え! 自己紹介? 」
子供が慌てた様にキョロキョロしている
「名前とか教えてね」
セリーナが笑顔で言う
「フィーネです」
「フィーネ? 女の子みたいな名前です」
セリーナが笑顔で言うと、フィーネが驚いている
「セリーナ、女の子だぞ、髪は切っていても解るだろ?」
アーレルが苦笑いしてセリーナを見ている
「えーーーーー! ごごごごごめんなさい」
セリーナが慌てて頭を下げる
別室に向かい、フィーネの養子縁組みの書類を作り、一緒に連れて冒険者ギルドに向かう
「すまないが、冒険者登録を頼む」
アーレルが職員にフィーネを紹介して言う
「え! 何を考えているのですか!! 子供を冒険者には出来ません!! 誘拐でもしてきたのですか」
職員が大声で怒鳴り、アーレルを睨んでいる
「これは養子縁組み書類だ! 問題有るのか?」
「え! 孤児院の書類…確認しますが…フィーネさんは冒険者になる事を承諾しているのですか?」
職員が驚きながら聞く
(保護者同伴なら…規約上問題は…本人の意思は…ギルドマスターに確認を…)
「はい、冒険者になります」
フィーネが職員を見て言う
「登録をしますが、ギルドカードを出して下さい」
職員が睨みながら言うと、アーレルがギルドカードを出して見せて、職員がギルドカードを見て驚いて、別の職員に何か伝えている
「子連れの冒険者アーレルか…あの町の冒険者ギルドマスターからの連絡で強いのは解っている。子供の教育はしっかりするように」
筋肉質の男が出てきて言う
「は? 手紙?」
「子連れで侮られるが、実力は子供達の能力で解っている!! 冒険者ビレットのお父さんを怒らせたくないからな!」
男が笑い始める
「ビレット何を風潮しているんだ」
アーレルが苦笑いしていると、職員がキョロキョロしている
「早く登録してくれないか? この後古着屋と古道具屋で買い物もしたいから」
アーレルが職員を見ている
「早く登録済ませてやれ」
男が笑顔で言うと、職員が慌ててギルドカードを作り、フィーネに渡している
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