第5話 人面樹と孤児

何日毎日迷宮に入りながら過ごし、迷宮の草むらに入り、モンスターを倒して進んでいると、地鳴りが始まる

「御父様!! 何が!!」

セリーナが地鳴りに驚いて地面に座っている

「まずい!! 逃げるぞ」

アーレルが慌てて、セリーナを抱き抱え走り始めると、目指す洞窟の入口の前に蔓が出ている

「道が塞がれている」

セリーナが驚いていると、地面から蔓が次々と現れて、大きな蔓の塊が現れ人型に変わっていく

「セリーナ、身を守っていなさい! 人面樹が現れるなんて、想定外だ」

アーレルがセリーナを地面に降ろして言いながら剣を構えている

「御父様…」

セリーナが震える声で言うと、座り込みながら短剣を構えている


人面樹に近付くと、人面樹が腕を振り延びてくるツタがアーレルに近付き、アーレルが剣で弾きながら突進すると、人面樹がアーレル目掛けてツタを鞭の様に振っている。人面樹に近付きながら剣を振り抜き、人面樹を斬り裂き、人面樹は、傷がすぐに塞がり、アーレル目掛けてツタが延びてくると、アーレルが跳び退いてかわしている

「身体強化、筋力強化、俊足」

アーレルが魔法を使い、一気に人面樹に近づくと剣を振り抜き、両断すると、斬られた部分が黒い霧になって消え始め、アーレルがすぐに地面付近の胴体を横に斬り裂く

と地面に生えているツタが次々と黒い霧になって消えていくと、最後に真っ二つに両断して、人面樹が黒い霧になって消えて、結晶が残っている


アーレルが結晶を拾い、セリーナの元に歩いてくる

「御父様…」

セリーナが泣きそうになっている

「これが迷宮だ! 迷宮の掃除屋が現れる事が有る…こんな早く現れると困るけどな」

アーレルが苦笑いしながら説明している

「気を付けます…あんなに強いモンスターが現れたら、終わりです」

「この辺りで現れるなら、困ったことだな…モンスターパレードの前触れかな? 冒険者ギルドに報告が必要だから帰ろう」

アーレルがセリーナに手を差し出すと、セリーナが手を握り立ち上がろうとするが、うまく立ち上がれない

「仕方無いな…早く帰りたいから、乗るように」

アーレルが背中を見せると、セリーナが背中に乗り、おんぶして歩いていく


迷宮を出ると、セリーナが降りて冒険者ギルドに向かい、カウンターの職員に近付く

「ちょっと相談が有る」

「何か有りましたか?」

職員が微笑みながら聞く

「これが何か解るな…人面樹が現れた…場所は…」

アーレルが詳しく説明をする

「え! そんな!! すぐに調査させます」

職員が慌ててメモを取り、結晶を買取りの鑑定を始めさせている

「魔石に間違い有りません…買取り価格は金貨2枚ですが、良いですか?」

職員が慌てて言う

「宿屋代が稼げて良かった」

アーレルが笑顔で言うと、硬貨を受け取り宿屋に戻る


「延長を頼む、これで泊まれるだけ確保を頼む」

金貨2枚を置くと主人が驚いている

「大金だが、良いのか?」

「襲われて無くなるよりも、先に宿と食料の確保が必要だからな」

「解った、嬢ちゃん良いお父さんだな! 何が有っら何でも相談に乗るぞ」

主人がセリーナを見て言う

「御父様、何故折角の稼ぎを…」

セリーナが驚きながらアーレルを見ている

「先に宿屋を確保した方が、食事と寝る場所が確保されているから、怪我しても心配は要らない! 落としたり、襲われるよりも安全だから」

「え! そうですけど…どのぐらい泊まれるのですか?」

「2ヶ月は心配は要らないぞ」

主人が笑顔で説明している

「セリーナ、明日は休みにするよ、溜まっている洗濯物も片付けよう」

「え! はい、御父様」

セリーナが笑顔でアーレルを見ている


翌朝、食事が終わると、アーレルとセリーナが洗濯物を洗濯して、洗濯物を干してから、村の中を歩いて回り、道具屋に入る

「ポーション用の容器有るか?」

「いくつ必要だ?」

主人がアーレルを見て聞く

「30本取り敢えず欲しい」

硬貨を置きながら言うと、主人が容器を並べている

「出来上がったら買い取ろう」

主人がニヤリとして言うと、袋に詰めて店を出ていき、宿屋に向かって歩いていくと、路地裏に子供を見付ける

「御父様、子供が倒れています」

セリーナが子供を見て心配そうに見ている

「孤児か…」

アーレルが子供を鑑定をしている


え? 職業が大賢者!! 育てたらセリーナを護ってくれそうだな…孤児なのか確かめてから考えるか


アーレルが近付き、子供を声を掛ける

「え! ぶたないで下さい!!」

子供がアーレルを見て怯えて叫ぶ

「お腹空いているのか? 親は?」

アーレルがしゃがみながら見ている

「帰って来なかった…」

子供が怯えながら話している


「この町に孤児院は無いのか?」

「え! いっぱいだから…怖いから」

子供が泣きそうになっている

「1人で生きていけないだろうから、孤児院に向かってから考えよう…食事も無いだろう?」

「うん…」

子供が泣きそうになってうつ向いている。セリーナが手を繋いで孤児院に向かう


「誰か居ませんか?」

アーレルが孤児院の中を見ながら言うと、奥から老いた女性が出てくる

「何か御用ですか?」

「この子が路地裏で倒れていたのですが、孤児の様ですので、保護をお願いします」

アーレルが子供を見て言うと、女性が考え込んでいる

「解りましたが…既に一杯なので…」

女性が申し訳なさそうに言う

「見捨てるのは良くないです。餓死するのを見捨てるのですか?」

「今回は保護しますが…」

女性が考え込んでいる

「数日後また来ます」

アーレルが微笑みながら言うと、セリーナを連れて帰っていき、子供を女性が建物に連れて入る


宿屋に戻ると、アーレルは、錬金術を使い始めると、葉っぱからポーションを作っている

「これで30本作れましたけど、どうしますか?」

セリーナが並べた瓶を見て言う

「初級しか作れなくても、少し良い物を食べれるかな?」

「御父様は何でも出来るから凄いです」

「冒険者していた時に、薬師にも習った事が有った、冒険者を続けるには、経験を沢山積まないと生き抜けないからね」

アーレルがセリーナに色々教えている

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