SとSが出会ったら 2人用台本

第1話 SとSが出会ったら

聡子：ねぇ

総悟：なんだよ

聡子：あんた、アプリで来たんだよね？ここ

総悟：そういうオタクもアプリだよな

聡子：待ち合わせ、ここで合ってるんだよね

総悟：のはずだぜ？ほら、画面見ろよ

聡子：・・・ねぇ

総悟：んだよ

聡子：あんた、あれよね

総悟：そういうお前はどうなんだよ

聡子：私の質問に答えなさいよ

総悟：・・・Ｓだよ

聡子：だよね

総悟：あんたもそうだよな

聡子：ええ。Ｓよ

総悟：んだよっ！マッチング失敗じゃねーか

聡子：なんであんたＳなのよ。あたしは、可愛いＭがくるっていうからアプリ入れたのよ？

総悟：俺だって可愛い可愛いＭがくるっているから、わざわざ他県まで車飛ばしてきたんだぜ？なのに来てみれば、明らかに俺と同じ匂いのするアンタしかいねぇし

聡子：ちょっと。私アンタみたいに臭くないわよ

総悟：ああ！？比喩だよ比喩、わかんねえのかよ

聡子：わかったうえで突っ込んでんのよ

総悟：ったく。ほんとにかわいくねー女。こんなとこ来るんじゃなかったぜ

0：歩き出した総悟を呼び止める聡子

聡子：ちょっと。どこ行く気

総悟：決まってるだろ。帰るんだよ

聡子：じゃあ乗せなさいよ

総悟：はぁ？俺の上に乗りてぇってか？

聡子：違うわよ！車よ、車！私タクシーで来たから帰れないのよ

総悟：ああ！？んなもん、自力で捕まえて帰れや

聡子：さっきから車が一台も通らないの、あんたも知ってるでしょ

総悟：知らねぇな

聡子：・・・お願いだから乗せてよ

総悟：・・・たく。しゃーねぇな

0：車中にて

聡子：なんでこんなことになっちゃったのかしらね

総悟：さあな。

聡子：あんた、このアプリ初めて？

総悟：ああ。どエロいＭがたくさんいるってんでダウンロードしたのに。まさかＳ同士マッチしちまうとはな

聡子：ほんとよ。運営に文句言ってやらないと。(携帯を見て)あれ

総悟：どうした

聡子：運営から通知着てる。ええっと・・・「この度は手違いが発生いたしまして誠に申し訳ございません」

総悟：ったく

聡子：「あなた様のお相手様は１５キロ先のファミレスにお待ちです」ええ？マジで

総悟：ちょい待った。俺らがここに集められたってことは

聡子：あたしらの相手も一緒にファミレスにいる・・・？

総悟：よっしゃ。あんた、道案内しな

聡子：命令しないでよ

総悟：うるせーな。口答えしたら降ろすぞ

聡子：あら？いいのかしら？私をここで降ろしたらあなたを待ってるかわいーいＭちゃんと会えなくなるけど？

総悟：はん。そんなもん、俺の携帯見りゃどうせおんなじ通知が来てんだからな

聡子：ちょっと。携帯使うなら路肩止めなさいよ

総悟：わかってるよ。うるせー女だな。(車を停めて携帯を見て)・・・あれ

聡子：どうしたの

総悟：電源切れてる

聡子：はぁ？マジ？だっさ。これからアプリで人に会おうってやつがバッテリー切れとか

総悟：うるせーよ

聡子：で？どうするの？私を降ろす？それとも、私にお願いする？道を教えてくださいって頭、下げられるかな？

総悟：くそアマが

聡子：あら？なんて言ったの？聞こえなかったわ～

総悟：(小声で)・・・連れてけよ

聡子：はぁ？

総悟：・・・連れてってください。お願いします

聡子：っ・・・ま、まあ？そこまで言うなら仕方ないわね！え、っと・・・ファミレス、そこの信号右折して・・・直進だって

総悟：了解。・・・曲がった先ずっと直進か？

聡子：・・・そう、みたいね

総悟：・・・なあ

聡子：・・・なによ

総悟：お前、ほんとにＳなんだよな

聡子：はぁ？何言ってんの？

総悟：いや、今のうろたえた顔と言いさっき乗せてやった時の態度と言い、ちょいちょいＭっぽい表情するなぁと思って

聡子：はぁ？うろたえてなんかいないわよっ

総悟：嘘つくんじゃねーよ

聡子：な、なによ。そういうアンタだって、ほんとにＳか怪しいもんだわ

総悟：なんでだよ

聡子：だって・・・素直にお願いしますとか言うからびっくりしたじゃない

総悟：あ、あれはお前が言わせたんだろ？！

聡子：な、なんか妙にゾクゾクしちゃったのよっ！うろたえたんじゃないから！！

総悟：・・・なぁ

聡子：なによ

総悟：この先、ファミレス右なんだよな

聡子：そうよ

総悟：左に見えてる看板、あれ、ラブホだよな

聡子：・・・そう、みたいね

総悟：・・・どうする

聡子：どうって

総悟：俺、Ｓ相手は初めてなんだけど

聡子：・・・私、痛いのは嫌よ

総悟：んじゃ縛るだけで

聡子：・・・あんたも、あとで縛らせてくれるなら

総悟：わーったよ

聡子：じゃ、左に

総悟：あいよ