社畜、河川敷でフェンリルを拾う〜街中だと目立つので、ダンジョンの中を散歩することにしたら迷惑系配信者が解き放ったSSSSモンスターを瞬殺して大バズりしちゃいました。ちなみにスパチャは全て餌代になります
第6話:社畜、職場で可愛い後輩女子からバズったことを聞かされる
第6話:社畜、職場で可愛い後輩女子からバズったことを聞かされる
日曜は丸々フィルのことで時間を費やした。最近は行政の手続きも休日だろうがスマホで済ませることができるらしく、わざわざ有給を取らずともモンスター登録の申請を済ませられた。いやー、本当に便利な世の中になったなぁ。
なので思いの外手続きが早く済ませられたので、次は注射を受けるために病院へ行こうかと思ったが、こちらは残念ながら日曜はやってなかったのでまた後日。
流石に有給とっていくしかないかな。土曜やってるところがあればいいんだけど……色々探してみよう。
あとはフィルの住処として犬小屋とかを探してみたけど、結局あいつのサイズに合う小屋は見つからなかった。そりゃそうだ、明らかに犬の大きさをしていないんだもの。
そんなわけでやっぱり俺が小屋を作るしかないのかと覚悟を決めることにした。多分、すげー時間かかるだろうけど……それまではフィルには家の中で我慢してもらおう。
「……すぅ、すぅ」
「くつろいでんなぁお前」
いや、もしかしたらその必要はないのかも。フィルのやつ、家の中で俺が買った人をダメにするクッションを枕にして心地好さそうに寝てやがるし。
ただなぁ……でかいから家具とか壊さないかハラハラするし、おしっこを家の中でされそうになるから怖い。やっぱり早めに作ろう。
「ワンワンワンワン!!!」
「おーよしよし、今やるから待ってろー」
でも何より、俺はこいつのことが好きだ。今日も相変わらず大好きなビーフジャーキーをひたすら尻尾フリフリしながら欲しがる様子は本当に愛らしい。
「俺も飲むかぁ。よしフィル、晩酌開始だ」
「ワン!」
家の縁側でフィルはビーフジャーキー、俺はハイボールを飲みながらぼーっと過ごす。
不思議だ、ついこの前まで俺はポツンと1人で飲んでいたのに。今は隣に馬鹿でかい犬みたいなモンスターと一緒にいるんだもの。人生何が起こるかわからんなぁ。
「クーンクン」
「ははっ、お前は本当に胃袋が底なしだな。晩御飯のモンスター食も食べただろ」
「クーンクンクン」
デザートはまた別腹だからな、と喋れたらそう言うだろう感じで、フィルはペタペタと前足を俺の身体にタッチしてくる。でかい図体してる癖に人懐っこいやつだなお前は。
「しゃーないな、本当に今日はこれで最後だぞ」
「ワワワワーン!!!」
「喜びすぎだっての。よし、俺ももう一本飲むか」
フィルが本当に美味しそうにビーフジャーキーを食べているのを見てたら身体がさらにアルコールを欲してきた。いい酒のつまみになるんだな、誰かが美味しくご飯を食べてる光景ってのは。
「よーし、今日もたっくさん飲むぞー!!!」
……で、翌日。
「……クッソ頭いてぇ」
月曜です。この世の終わりです。全社畜が会社爆発しろと願う曜日です。
なんとか朝早く起きれてフィルの散歩は行けたけど……ああ、マジで昨日調子に乗って飲みすぎた。頭が割れるように痛いし、身体は鉛を抱えているかのように重い。
そして、それに追い打ちをかけるように身動き一つ取れない満員電車。社畜は出社する前から苦労を重ねているのです。
クッソ……なんで弊社はリモートを推奨していないんだ!!!
「おはようございますー」
なんてこと思っていても、なんだかんだ出社してしまうのが社畜という生き物。先に出社してきた会社の人たちにおはようの挨拶をして、自分の席に座って一息つく。
「先輩、おはようございまーす!」
「……ああ、朝倉さん。おはよう」
持ってきた水筒を飲んでいると、隣から元気いっぱいの可愛らしい挨拶が聞こえてきた。顔を上げてみてみるとそこには俺の後輩、入社二年目の朝倉さんがいた。
彼女は俺が所属している部署で一番の若手で、かつビジュアルも元気もとてもいいことで評判だ。愛らしいルックスに、少し茶色に染めたボブはとてもよく似合っているし、スタイルだってとても良い。
それに彼女はいつもニコニコしていて、まるで太陽のような存在といっても過言ではないだろう。実際、俺もよく朝倉さんからは元気をもらってる。
ただ、俺が仏頂面だからか避けられている気がしてあんまり喋ったことはない。ないんだけど……今日はどうしてか、隣にきて挨拶をしにきてくれた。なんだろう、仕事でわからないことでもあったのか?
「先輩先輩、ちょっと聞きたいことがあるんですけど良いですか!?」
「ああ、いいけどどうしたの?」
「これ、先輩ですよね? 私みましたよ! フィルちゃんと先輩の動画、大バズりですね!!!」
「ん…………ぶっ!?」
思わず吹き出してしまいそうになるものの、なんとか口を押さえて堪えることはできた。だが、それぐらいの衝撃を受けるのも正直無理ない。
だって、彼女が見せてきたのは土曜に俺とフィルがダンジョン散歩してた時の動画? なんだもの! おいおい、フィルがモンスターたち瞬殺してるところも、俺が身代わりになろうとしたところも全部映ってるじゃん!?
「あ、その反応ってことは間違いないんですね」
「あ、え、いや、その」
「こんなに慌ててる鎌田先輩初めて見たかもです。いやー、先輩も可愛いところあるんですね!」
「な、なんでこれを……?」
「え、先輩知らないんですか? この動画、今ネットですごい拡散されてるんですよ。フィルちゃん可愛いとかかっこいいとか、あと先輩のこと男らしいとかでめちゃくちゃ評判になってます」
「…………うそぉ」
そ、そういえばあの迷惑な野郎、配信してるとか言ってたな……。もしかして、その時の映像をたくさんの人が見ちゃったってことか?
うわ、まじか……朝倉さんのスマホ画面を見るに、動画の再生回数は……ひゃ、100万!? 100万人があれを見たの!? や、やばいって……仕事に集中できないってこれ……。
「大バズりですね先輩、おめでとうございます!!!」
「め、めでたくは……ないかなぁ。あ、朝倉さん。このことは上司たちに内緒ね。多分バレたらめんどくさいことになるから」
「わかってますよ。でも、一つお願い聞いてもらってもいいですか?」
「お願い?」
「今日の仕事終わり、フィルちゃんに会わせてください! 私もあのモフモフを堪能したいです!!!」
「…………え?」
そ、それって……家に来るってことだよな……?
おいおい、なんだか急展開すぎて頭がついてこないぞこれ!
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