魔女、鉄槌、少女

みやや

プロローグ

山のふもとの洞窟に

暮らしているのは悪い魔女

毛深いからだにするどいクチバシ

とってもこわくて悪い魔女


魔女の森はこわい森

魔女の手下の魔物ども

お目目をぎらぎら光らして

うろついているこわい森


魔女はかつて人間の

偉大な魔法つかいだった

魔力にからだがたえきれず

こわい化けものになり果てた


魔女は今なお生きている

どこかの洞窟の奥ふかく

大きなからだを横たえて

静かに静かにくらしてる───






剣のように尖った白銀の岩肌を誇らしげに、山々が連なり聳え立つ。


それらの全貌を眺めるには絶好の場所だ、

山のふもとから少し離れたところに小高い丘がある。


そして丘の上には小さな村がある。寂れた村である。


この村は今、少しばかり大変である。




丘のまわりに広がる大きな森、これは魔女の森と呼ばれている。

魔女の手下の魔物が徘徊する危険な森だ。


魔女。

山のふもとにある洞窟に住んでいる巨大な化け物のことである。

この魔女は森の魔物たちのリーダー。

その名前の通り強大な魔力で森一帯を支配している、らしい。




大変な話に戻る。

最近になって、少し森の様子がおかしい。

魔物たちが、頻繁に森の外をうろつくようになっているのだ。

さらには気性も心なしか以前より荒くなっている。

既に何件か、村人が魔物に襲われる事案も発生しているようだ。


村人たちは当然これを恐れている。

おかげで最近この村は、真昼間でも閑散としている。






…今日は珍しく村に人影が見える。

一人。背丈は可成り低い、どうやら少女である。

何やら、とても大きな何かを背負って歩いている。

あれは…ハンマー?だろうか。

彼女の背丈ほどもあるハンマーのようだ。

そんなものを背負っているにも拘らず、依然彼女はすたすた歩く。

そして、立ち止まった。


そこは、魔女の森の入口である。

何処からともなく、険悪な雰囲気が感じられる森の入口である。


少女は呟く。

「…やっと、見付けた」


「山のふもと、魔女の森…」

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