2ー3 死の受容プロセス:精神病を受け入れた先の段階へ


「人生終わった」


 そう思ったことのある人はどのくらいいますでしょうか?


 人は死を受け入れるまでに5段階のプロセスを経るといいます。死の受け入れではない? 精神病だって? 人生が終わったと感じた人なら、精神病であっても、それはひとつの「死」です。人生の終わりが死であっても精神病だって同じ心理状態をたどると思いませんか? 

 これからお話しする死の受容プロセスは全てのひとにあてはまるわけではありません。順番が前後する場合がありますと逃げを打っています。ただ、少なくとも精神病の私には当てはまりました。死の受容プロセスはそのまま精神病の受容プロセスとなります。


 では早速引用します。エリザベス・キュブラー=ロスの死の受容プロセスです。wikiから引用します。

 読み飛ばして良いですよ。


①否認・隔離:自分が死ぬということは嘘ではないのかと疑う段階である。

②怒り:なぜ自分が死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階である。

③取引:なんとか死なずにすむように取引をしようと試みる段階である。何かにすがろうという心理状態である。

④抑うつ:なにもできなくなる段階である。

⑤受容:最終的に自分が死に行くことを受け入れる段階である。


 さてここからCランク治療薬の精神病の受容プロセス……いいえ、その受容の先まで組み込むので精神病段階論ですね。


①否認・隔離:自分が精神病ということは嘘ではないのかと疑う段階である。

②怒り:なぜ自分が精神病にならなければならないのかという怒りを周囲に向ける段階である。

③取引:なんとか自分は正常だと思うように取引をしようと試みる段階である。何かにすがろうという心理状態である。

④抑うつ:なにもできなくなる段階である。

⑤受容:最終的に自分が精神病で生きて行くことを受け入れる段階である。

⑥開き直り:できないことはできないと割り切り、できることをして社会とともに生きていく段階である。

⑦幸福:障害を負ったのも、今の幸福な自分に到る不可欠なものだったと全肯定する段階である。


ひとつずつ見ていきましょう。


①否認・隔離:自分が精神病ということは嘘ではないのかと疑う段階である。


 精神病の自分の症状っぽいものをネットで調べたり、違うと否定してみたり、やっぱり病院行ってみた方がいいのかと思ったりしている時期です。認めたくないんです。自分が精神病だと。それで周囲とやっぱり上手くいけずトラブったりして問題を起こして隔離(孤立)していく。そんな段階です。


②怒り:なぜ自分が精神病にならなければならないのかという怒りを周囲に向ける段階である。


 自分がこうなった悪い原因に対して怒りが芽ばえてきます。その原因が直接的な加害者だったり、家族だったりします。この時期には憤りをすごい感じますので、陰謀論とも非常に相性が良いです。加害者が悪い。家族が悪い。社会が悪い。世界が悪い。ですね。


③取引:なんとか自分は正常だと思うように取引をしようと試みる段階である。何かにすがろうという心理状態である。


 神頼みする時期です。自分がこうなったのには訳があると思い込みます。怒りで陰謀論から派生して使命感に燃えたりします。日本を良くしたいとか核戦争が起きないようにします(なりますようにではなく)といったことを神々の前で宣誓したりしてました。理由は単純です。そう思わないとやってられないから。精神病になったもとがとれないから。自分が苦しんだ分帳尻を合わせたいから。そうしないと正気を保てないんです。

 宗教に傾倒する時期でもあります。日月神示好きでした。


④抑うつ:なにもできなくなる段階である。


 これは双極性障害だと更に顕著かもしれませんが、俗に言うエネルギー切れです。動けなくなります。大人しく通院したりします。闘病生活の日常ですね。


⑤受容:最終的に自分が精神病で生きて行くことを受け入れる段階である。


 精神病であることを受け入れます。もう昔(後天的発症でしたので)とは違うんだな。これから病気と共に生きていかなければならないと悟ります。これはある時突然悟ります。


⑥開き直り:できないことはできないと割り切り、できることをして社会とともに生きていく段階である。


 ⑤から大分時間がかかります。精神病を抱えたまま社会と関わり、より具体的な対策をして自分と世界の折衝地帯を整理していきます。具体例をあげましょう。


 私は電話をよく受けるのですが、最低限の所属と氏名(それすら時々抜ける)しか頭が認識せず、そういう状態でよく転送しています。そういう状態であるということも職場の上司に伝えています。メモとれば? と言われましたが、書いている間に次の言葉を話されるので無理なんですよね。メモをとることはマニュアルで推奨される理想論で全く見当違いですね。 

 するべきこととまだしないでいいことが混在してたくさんあると、頭からすっぽ抜けてし忘れるということがよくあります。職場の上司から付箋ふせんをはればとアドバイスを受け貼ってみたら忘れても目の前にやるべき事があるので、し忘れることがなくなり普通に仕事が回せるようになりました。

 終業前16時から18時にかけてはうつ状態の時がたびたびありました。そんな時大きな仕事をすると大ポカをしてしまいます。今は頭の使う作業は午前中にやり、単純な作業は終業前にすることを意識しています。

 このような積み重ねで俗に言う寛解という状態なのでしょう。受容の先。投薬治療の目指す先はここです。私は恐らくこの⑥段階目だと思います。ここを目指すのではないですよ。次です。


⑦幸福:障害を負ったのも、今の幸福な自分に到る不可欠なものだったと全肯定する段階である。


 机上の空論だと笑いますか? 脳の思考回路のプロセスを追う認知行動療法でも理想論でしょう。障害を負ってそれでも今の自分があってよかった。なんて。ハッピーエンドにもほどがあります。そうです。双極サーフィンはここを一緒に目指しましょうというエッセイなのです。難しいです。途方もないです。でも、仕事がうまくいってそれで終わり? それなら生活保護でという人がいても普通です。当たり前です。⑥の寛解は目指すものではない。ただの通過点です。私もうまくいってるわけではないです。幸せだと思う瞬間は時々起きるようになりました。でも、現状を全肯定できるわけではない。というよりここは精神病、健常者問わず目指すところですね。今、日本は⑥をゴールとする人だらけになってる感じですね。幸福な自分が個人で完結させようとしているから。なんかこの文章を打ってて思わぬ着地点で驚いています。


とりあえず、この言葉で締めましょう。


幸せになりましょう。みんなで。 

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