第3話 覚醒
これが俺に与えらたスキルのようだ。
色々と試してみてわかった。
どうやらスライムに付与できるようなのだ。
「スライム。
これで火の玉スライムの完成だ。
「攻撃!」
俺の意思で自由に飛んでいく。
スライムは石像に当たって爆発した。
座小崎が使っていたファイヤーボールみたいな感じだな。
俺の場合、魔法と違って操作の自由度が高い。
発射速度は魔法に劣るが、飛ばす方向は自由自在だ。
しかも、俺は五属性が付与できる。
火、氷、土、風、雷。
そのどれもがスライムに付与できる。
例えば、スライムを2体出してから、
「
これで雷と氷の攻撃が可能だ。
土を付与すれば岩のように固くなることができた。
積み上げれば岩の家を作ることが可能。
「雨風が防げるな。寝る場所には困らなそうだ」
風はなんだろう?
付与すると、爽やかな風がスライムを纏った。
「もしかして……」
スライムを触ると手の傷が消える。
なに!?
今度はスライムを掴んでペロリと舐めてみる。
「おお!」
体が癒される感覚。
もしかして?
と、スライムを飲んだ。
「ゴクゴク」
おおおお!
体の傷が消えたーー!!
「回復薬だ! 風の付与はスライムがポーションになるんだ!」
ふふふ。いいぞ。これなら単独の冒険でもなんとかなりそうだ。
攻撃も回復もできるんだからな。
それに魔力の消費は無さそうだ。これらは特技でやっているから無限にできるのかもしれない。これなら魔法より上位互換かもな。
「よし」とステータス画面を見る。
【このパーティーで決定しますか?】
はい いいえ
はい、を選択だ。
【クリア報酬。
俺は光りに包まれて、どこかに瞬間移動した。
そこは森の中だった。
遠くの方に立派な城が見える。その周辺には街がある。
どうやら都市のようだ。
【第三の試練。国王に会え】
なるほど。
要するに、あそこに見える城に行けってことか。
周囲にクラスメートは見えないな。
それぞれが他の場所に移動したのか。それとも、俺の移動が遅かったから先に進んだのかはわかない。
とりあえず、俺は1人ってことだ。
「まぁ、いいさ。そっちのが気楽で」
突然、草木が揺れる。
『ゴブ! ゴブ!!』
現れたのは1体のモンスターだった。
緑の肌に尖った耳。口から見えるのは鋭い牙。
背は俺より低いが、棍棒を持っているので油断はできない。
ゴブリン。
で間違いないだろう。
ゲームによく出てくる有名なモンスターだ。
『ゴブーー!!』
早速攻撃かよ。
棍棒が当たれば骨が砕かれるぞ。
「スライム。
ボン!!
『ゴブーー!』
ゴブリンは絶命した。
「うん。楽勝だったな」
森を彷徨うと次々にモンスターと遭遇する。
そのどれもが楽々と倒せた。
「しばらく戦闘を楽しむとしようか」
モンスターは様々だった。
蛇。鳥、狼。スライムもいたっけ。
スライムでスライムを倒すってのは少し複雑な気分だったけどな。
それでも楽々と勝利する。
そして、
【レベルアップ! レベルが1から2に上がりました】
おおお!
早速、ステータス確認だ。
名前:柔 快人。
LV:2
攻撃:3
体力:8
防御:1
速度:2
知力:2
魔力:0
職業:スライム使い。
相変わらず弱い。
クラスメートの気弱な女子でさえ攻撃力は2桁の数値があったからな。
もうステータスはしばらく見なくてもいいか。それよりスキルだよな。
【新しいスキル、2匹呼び、を覚えました】
ほぉ。
2匹呼び。とは不思議な名称だな?
もしかして……。
「スライム」
ポヨォン。ポヨォン。
「おおおお! 1回の名前で2匹出たぞ」
これは便利だな。
腹が減ったら鳥のモンスターを食べた。
スライム。
「うん。どこの世界でも鳥は美味いよな」
日が暮れる前に家を建てる。
「スライム。
岩のように硬くなったスライムが積み上がる。2匹出せるからかなり便利だ。
カップラーメンより早く家ができてしまったな。
フサフサの稾をスライムの上に置いて、
「ウォーターベッドだ」
ふふふ。快適快適。
焦って国王に会う必要もないだろう。
のんびり異世界を楽しもう。
フカフカのスライムベッドでぐっすりと寝た。
次の日もモンスターバトルを楽しむ。
勿論、楽勝である。
【レベルアップ! レベルが2から3に上がりました】
お、やったぞ。
この言葉は胸が躍るな。
【新しいスキル、スライムボックスを覚えました】
これはアイテムをスライムの体内に収納できる便利なスキルだ。
スライムを弾けさせればそのまま亜空間で保管できる。再びスライムを発現させればいつでも出せる。
「ふむ。このスキルがあれば食料や拾ったアイテムは持ち運びが便利だな」
王城には少しずつ近づいているようだ。
近くに見えて以外と距離があるんだな。
まぁ、いいや。道中を楽しむのも一興だろう。
そんな感じで次の日を送る。
1日中モンスターを狩る。
ふむ。
レベルが上がらないな。
モンスターが弱すぎるのかもしれない。
早いとこ王城に向かおうか。
そんな時である。
「いやぁあ! やめてください!!」
女の子の悲鳴。
何事だ?
その場所に行ってみる。
そこには不良グループの
はい?
「ぐへへ。こ、この世界には教師がいないからよ。な、何やっても許されんだよなぁ……」
そいつらは1人の少女を囲んでいた。
彼女の身体は傷だらけ。
「誰かぁあああ!!」
「ひひひ。助けなんて来ねぇえよぉお」
やれやれ。襲うつもりかよ。
とことんまでクズだなぁ。
「おい。何やってんだ」
「なんだぁ?
「そんなことをして心が痛まないのか?」
「ギャハハハ! 心が痛むだとぉ!? この世界には警察も先生もいないんだぜ? やりたい放題じゃねぇかよ!」
まぁ、確かにそうかもな。
授業がなくなってるのはシンプルにありがたいしな。
「
「ふむ。そうはいかないんだ。この前のお礼を返さないといけないしな」
座小崎は3人の仲間に命令する。
「おい、やっちまえ。今度は手加減抜きだ」
「いいんですか? 殺しても?」
「別にいいだろ。異世界なんだからよぉ」
「そうっすね♪」
やれやれ。
価値観が狂ってんな。
3人の不良が俺に向かって飛びかかる。
「「「 死ねやこらぁあ!! 」」」
「スライム。スライム」
2匹呼びを発動。合計4匹を出す。
「バカが! 弱っちーースライムなんかぶっ潰してやる!!」
そうなるかな?
「
4匹を岩のように固くしてやる。
この前のようにはいかないぞ。
不良どもの拳はスライムに命中した。
ゴチン!
鈍い音がなり響く。
「「「 痛ぁああああ!! 」」」
続いて、
「
スライムの電気攻撃だ。
バリバリバリバリーー!!
「「「 ぎゃぁあああああッ!! 」」」
横たわるのは3人の不良。
「「「 むきゅう…… 」」」
そのまま気絶する。
ふぅーー。
「異世界って本当にいいよな。誰の目も気にせずに思いっきり喧嘩ができるや」
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