白鳥さんの英国紀行

夢水 四季

第1話

「そうだ、イギリスに行こう」

 冬のある日、白鳥は唐突にこう言った。

「おいおい、本当に急だな」

「お祖母様から、今年は、一緒に年越しするようにと要請が来たのよ。行かない訳にはいかないわ」


 そんなこんなで俺達はパスポートを新しく申請し、冬休みに入ってすぐに、イギリスへと出発したのだった。


 ヒースロー空港。

「セバスチャン、久しぶり~」

 一年以上振りに会ったセバスチャンは、変わらず男前だった。

 セバスチャンが運転する車で白鳥邸に向かう。

「お~、これがロンドンかあ」

「高村君と烏丸君は初海外だから、まあ楽しみなさいな」



 ロンドン郊外、白鳥邸INイギリス。

 セバスチャンと同じ執事服を着た少年もいた。

「彼はオウルよ」

オウルと呼ばれた少年は軽く会釈した。

「よろしく」

 こくりと頷く。無口な子だ。

「では、お祖母様にも、ご挨拶に行きましょう」


「美和子、よく来たね」

「ええ」

「約三年ぶりだね」

「ええ。お祖母様もお元気そうで」

「そちらが美和子の友達かい。薫もいるね」

「こんにちは、美和子の祖母さん」

「こんにちは、高村秀です」

「烏丸凛です」

「下僕の高村君と、クラスメイトの烏丸君です」

 下僕とクラスメイトから昇格しない俺達、何か哀しくなってくるな。

「ほう。下僕、使い魔かい」

 お祖母さんが俺をじっと見つめる。何か心の奥底まで見られているような感じだ。

「じゃあ、ゆっくりしておいで」

「お部屋が用意してございます。ご案内いたしますね」

 部屋は豪華に一人一部屋用意されていた。

「これで高村君の寝顔を見ずに済むね。白鳥さんのお祖母様に感謝」

「寂しくなるな、烏丸」

「せいせいするよ」


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