空飛ぶ蝶
おと。
羽ばたく蝶
地球が爆発してみんな死ねばいいのに。
私は最近そんなことばかり考えてしまう。
中学に入った時にはこの憂鬱な気持ちともおさらばだと思っていたが余計増すばかりだ。
友達もいない、運動も勉強もキライ。
こんな何のとりえもない私。
親もこんな私を何とかしようと無理矢理にでも学校に行かせる。
少しは勉強しろ。友達くらい作れ。もう、うるさいったらありゃしない。
私が何をやっても何もできないこと。
そんなの私が一番よく分かっているというのに。
友達なんて言葉があるからだ。
比較なんてするからだ。
私は私の好きなように生きたい。
○
エミちゃん。小学校の頃はよく話してたのにいつの間にか周りの目を気にして私のこと見て見ぬふりしてたよね。
亜美ちゃん。私に優しく接してくれたけれど本当は周りに優しいって思ってもらいたいからそうしてたんだよね。私、知ってるよ。
その他にも色々いる。人間なんて結局自分中心で他人のことなんか気にしてないのだ。
こんな世界に生きていたって無駄だ。だから私は流れ星にも願かけにもこう願う。
地球が爆発してみんな死ねばいいのに。と。
でも最近一つだけ…こんな世の中で唯一美しいと思うものを見つけてしまった。
それは蝶だ。
虫は嫌いだが何故だか空を可憐に飛ぶ蝶はとても儚くて神秘的だった。あっという間に心を奪われてしまった。
もし生まれ変われるなら蝶になりたい。
蝶はとても短命だが私は蝶になりたい。
いつの間にかそう考えるようになってしまった。
…願い事で毎回「地球が爆発してみんな死ねばいい」と言っている私が今更蝶になりたいと思うなんて皮肉よね。
でも…。
私はベランダに出る。すると蝶が舞っている。
なぜだかここはよく蝶がいるのだ。
私の仲間入りを誘っているのかもしれない。
空を見上げた。星が輝いている。
そして私は夜空を舞う蝶を目で追う。
自然と体が出る。
次の瞬間、勢い良く落下した。
もし生まれ変われるなら。こんな醜い人間ではなく、美しい蝶になりたい。
真っ黒の世界で私はそう一層強く思う。
空飛ぶ蝶 おと。 @oto123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます