第6話

 全員選んだら、浮気だよね。

桜は思う。

ん?でも。恋愛感情じゃなくて、友愛だったら良いのでは?

と思ったら。

相馬君の馬2頭がいる柵のある場所と、レンガ調の小さな小屋に料理谷君の厨房がすぐ近くに見えて、見渡せば遠くは一面薊兄弟のお花畑と真ん中には綺麗な小川が流れている。ここは。

「村?」

そこへ、4人が現れた。

「あ」

4人ともなかよく声を揃えて桜を見る。

恥ずかしい。

「あー、えっと、今回は、ネグリジェ風パジャマです。ワンピースみたいだよねー、と」

4人がぞろぞろ近づいてくる。

「久しぶり、馬に干し草やる?夢なら汚れないし」

「カレー、なんか、ガラムマサラだかなんだかコリアンダーだか、長いのに覚えやすいのいれるらしいじゃん。厨房くれば?」

「カラオケ!この間弟と徹夜しようかと思ったけど保護者いなきゃ無理だった!マジバカ!サクラちゃん好きな歌なに?」

「勉強の邪魔だと思ってたけど。思いっきり歌ったらやっぱり余韻が残って困る。兄貴もなかなか帰らないし。とりあえず、歌は好きだって思ってるからリアルでカラオケボックス、無理か……」

えっ、えっ、と4人の喋る内容になんとかついていこうとする桜。

「み、みなさん。なんて言われてここにきてるんですか?なんか、アナウンサーいるじゃないですか」

4人が、ちょっと困ったように、少し楽しむものもいたが。誰も答えず。

「あの、スマホとカレンダーなんですよ。わたしの場合。夜更かしのメインが主であるわたしに、なんか睡眠の合間に異世界に飛ばしてるみたいで」

「俺らも同じ」と薊兄弟の兄、茶髪。

「でも、試練は、どうかなー、なんか、俺たち順番に呼ばれてて」

「1番始めの料理谷がよく知ってるんじゃない?」と干し草を持ったままの相馬。

「知ってるけど、言いたくない」と、ムッとした顔の料理谷。

最後に「俺が聞いたのは愛されろ、だけど」と、なんの打算もない、無表情の氷のような黒髪、薊兄弟の弟。

みんなが薊弟を見る。

「言っちゃったー」

この展開で。

「何が」

「オレはサクラちゃんが誰かを選べば終わる、学生お見合いだと思うんだよね。言ってて候補なのかと思うと光栄でオレも恥ずかしいんだけど」

「な」

弟、ちょっと考える。

事実、久しぶりに皆桜に会うまで。

「夢だから言うけど、考えない日はなかった」

麦わら帽子が似合いそうな日焼けした、まつ毛の多い少年、相馬が干し草をそろそろ馬にあげなきゃなのに数秒引き延ばす。

「オレはさっきも言った通り、候補、なら嬉しい」

とポケットに両手を突っ込んで、やっぱりこういう時はぴしっとしなきゃと思ったのか手を出して桜を見る薊兄弟の兄。

「夢だろ。だったら、すぐ連れてく。ほら」手を掴もうとするが強引にはいかない料理谷。

ようやく桜に愛されることがこの夢の趣旨なのか?と赤くなりながら答えらしきものに至った弟は

「夢ならどうだったいい。日中考えてたまらないから、とにかく誰か選んで欲しいけれど、誰でも良いわけじゃないなら、同じく立候補だ」

口元に手を当て、赤くなりながら意味不明なことを言う薊兄弟、弟。

「つまり好きってことでしょ」

兄の言葉に少年4人が、なんだか、これが、気になるってことか。

と、納得した。

「えっ、え!」

桜は白いネグリジェフラフラふわふわしつつ自分のどんな行いがなぜこんな事態になったのか、考えていた。

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