第5話
夢に出てくるものと人物の名前や性格。
なんとか4人をおぼえている。
〈気になる人、いましたか?わたしはね、料理谷君が不器用で最初スカウトしたんですよ。しかし、1人で厨房に籠ってるんで、こじ開けてやろうと思って、牛か山羊の乳でも配達に来る少年を追加しようとしたら相馬君が断然優しくて彼を心配してくれる関係なんですよ実は。しかし、彼、馬が好きみたいなんだよね。牛と山羊やら羊よりは男の子はそっちだったかーと。薊兄弟は陽キャの気さくな苦労性と、黒髪で努力が目立たない苦労性と、まあ、2人ともいいやつなので、ひいては4人仲良くと思っていたんですけどねー〉
とある台風の日。学校がなんと珍しく休校。そんな午前中、ちゃんと勉強をしながら4人のことを思い出していた桜。花はピンク色を持ち帰ったが一向に枯れる気配がない。馬の毛と、じゃがいもと玉ねぎの皮もなぜか傷まない。なんてものを保管してるんだわたしは。しかし、そこへ展開される怒涛の異世界夢想アナウンスが台風と合わさってなんだか、苛つきにはならないけれどちょっと怖い。
(どうすればいいの?誰かになにか表彰したり特別なことをすればいい?なにこれ。はやくおわれっ。でも出会った人はめっちゃ良い人たち)
〈次は全員と会えますからね、オシャレはしなくても大丈夫ですよ。かれらも夢だとラフな格好ですから〉
どうだっただろう。確かに細部は思い出せないが、みんな寝巻きといえば寝巻きだし。部屋着といえば部屋着。なんだったら相馬くんは寝巻き、料理谷君はジャージどうこう言ってた割に自分がジャージだった気がする。薊兄弟は、わりとオシャレな服装だった気がする。外で遊んで疲れて家で寝ました、みたいな。
それに比べてわたしは!
〈もうすぐ15歳ですね。プレゼントは新しい彼氏にしましょうか〉
(あなたはどういう存在?あと、人間をプレゼントにしないで)
〈正体ですか、正体は、夜更かしやスケジュールと関係ありますね〉
スマートフォンとカレンダー。
〈鋭い!〉
〈その通りですよ、でも、捨てないでくださいねえ、お願いです〉
〈わたしはただ、持ち主が愛されてくれれば良いんですから〉
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