真夏のラグナロク

恥目司

叙事詩



  序文



——黎明の頃から、世界を照らしていた。

 人々になくてはならない存在だった。

 明かりとして、憩いとして。 

 それは常に人々の側にいた。

 だが、いつしか人々はそれを手放した——


——彼は、いつからか崇められた。

 敬われた。

 だから寄り添った。

 崇められた

 だから尊大でいた。

 恐れられた。

 だから喰い殺した。

 忘れられた。

 だから、去った——


  人は、きっと、己以外に興味がない。


 神は言った。

 人は罰するべき存在であり、滅ぼすべき悪であると。

 

 星は抗った。

 人は無限の可能性を秘め、新たなる力を創造すると。


 神は壊した。

 人の造った文明を。


 星は産んだ。

 人を守った異常を。


 再び、神は壊し、星は産む。


 破壊と創造を繰り返し、20億年

 滅亡と再生を繰り返し、20億年


 40億年の輪廻の内側で織り成してきた、幾星霜の神話。


 何十億回かも分からない新たな神話は、今。 東京で始まる。

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