似合う色を教えてくれた人

第1話 写真の子

どうしてこんなの見つけてしまったんやろう？

知りたくなかった。

そこには楽しそうに自撮りして映る男女の写真。肩くらいまで写ってておそらく裸。

2枚目は自撮りしながら女が男にほっぺにチューしてる。

そこに写ってる男は遠距離恋愛中の彼氏のたくやだ。

女はうちではない。見たこともない、可愛い子。

たくやの顔や髪型から考えても昔のものじゃない、最近のだ。

たくやは今、先輩に呼び出されて用事をしに出掛けている。

消防士は体育会系だから先輩の呼び出しにはイエスしかないらしい。

大変そう…

1人で暇になったから部屋にあった1番上のジャンプを読んでて、はさまれてた写真を見つけた。

写真を破ろうとしたけどやめる。

写真をそのまま戻してジャンプを元にもどす。

涙が流れる。立てた膝に顔をうずめる。

でも覚悟はしていた。

知ってる。たくやってクズな部類に入る。

この子がどういう関係か知らないけど、二股するなんてたくやには余裕やろう。

チャンスがあれば絶対いく。

…でも、どこかでうちだけって信じてる部分があった。

まんまと裏切られた。

たくやが帰ってくるまでに気持ち戻したい。

たくやの部屋に来たばっかりで今日含めて３日一緒に過ごすのに…

見なかったことにして、たくやがどうしていくかで考えよう。

しばらくしてたくやが帰ってきた。

うちの好きなプリン買って帰ってきた。

2人でベッドに入る。

キスして触って脱がそうとする。

イチャイチャしてたらたくやの携帯が鳴る。

しばらくしてもう1回、追い討ちかけるみたいにまた1回。

「メールめっちゃ来るし何か用事じゃない？見てみなよ？」

たくやはめんどくさそうに携帯を見る。

みるだけで返事しない。

「こっちの彼女からなんじゃないの？」

冗談っぽく聞いてみる。

たくやは嘘つくの下手くそすぎる。

嘘つく時目をそらす。

「ちがうし、そんなんおらんし。メルマガ」

わー、目そらした。

図星かよ！？

イチャイチャを再会して、その後もマナーモードにしたのか何回かバイブの音がしてた。

返事ないのにしつこいな。

エッチしてる時は気持ちよくて何も考えれんかったけど、エッチ終わってたくやはすぐ寝ちゃって、うちはたくやの携帯の通知ランプがチカチカしてるのをぼーっと眺める。

はー…

ほんまこいつどうしようもないな。

なんでこんなんがいいんやろう？

もっとバレないように上手にしろよ。

下手くそやのにするなよ。

最低…

嫌いになれたらいいのに。

３日間特に何をするわけでなくイチャイチャして過ごす。

またしばらくは会えなくなる。寂しい。

月に1回会えたらいいくらいで、なかなか会えない。

うちと会えない間は写真の子と仲良くするんだろう。

帰りのバスで悲しくて、辛くて、みじめで…

負の感情が一気に爆発する。

もう泣く理由しか思いつかない。