ワナビのゴールデンウィーク
西川 旭
序 たたき台
太陽が正午を告げる高さに達しきる前に、惨劇は幕を閉じていた。
穏やかだった暮らしを切り裂いた硝煙の臭い、白刃の音と炎のきらめき。
若く細い四肢に残された力を懸命に振り絞り、カイは野山を走り続けた。
どれくらい走ったのだろうか。気が付くと辺りは一面、薄い闇に覆われている。
道とはいえぬ草木の間を駆け抜けたせいで、擦り傷に覆われたカイの全身。
しかし、その痛みすらも感じないほどに彼の心身は煮えたぎっていたのだ。
自分は生き延びる。
いつか必ず、故郷を滅ぼし、家族を、友を殺した帝国をこの手で……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます