妖怪が人を襲う大正の日本。
人知れずその脅威と戦う者たち――それが退魔師。
退魔師の名門・織部家の長男、織部清隆は、
妹の静音と幼馴染の葵と共に、退魔師見習いとして日々修行に励んでいた。
明るくて手の早い葵、冷静で毒舌な美人妹・静音に囲まれた賑やかな毎日。
だがそこに、ある一人の少女が現れる。
長い黒髪を藤色の紐で結んだ美しい少女――文子。
母を亡くし、清隆の父の昔馴染みの娘として、織部家に引き取られることとなった。
そしてその日を境に、清隆の周囲は少しずつ、だが確実に狂いはじめる。
夜の街に現れたのは、これまでに見たことのない異形の存在――淫魔。
三百年前、中世ヨーロッパの「儀式」で姿を消したはずの悪魔が、なぜ今、この日本に。
退魔師としての訓練。
義妹との奇妙な生活。
そして過去から甦った「悪夢」との邂逅。
「退魔師の日常」は、もう戻らない。
和風退魔ファンタジー×淫魔の異常介入劇、ここに開幕。