第2話 失敗から何を学ぶか?(考察その2)

結婚を考える時とは、どんな時なのでしょうか?

 人によって違うとは思うけれど、私の場合はだいぶ打算が渦巻いていました。それは父親が突然救急車で運ばれた時、もし父に何かあったら自分が家族を守れるのか?と不安になった事が大きい。

 その時20才位。自由に好きな事をさせてもらっていました。モデルをしたり、六本木や銀座でアルバイトをしたりすればチヤホヤされて、お金に不自由する事がなかった。それが親が倒れた時に、家族(呑気な母親と弟)を支えられない自分の現実に目が覚めた思いでした。

 そんな時に、いつも優しく好きだと言ってくれて、悩みを聞いてくれた優しい彼に気がついた。その彼からプロポーズされた時にときめきました。(結婚って好きだけでするものじゃなくて、むしろ愛されてする方が幸せかも知れない)そう思ったんです。

 こんな良い人はいないだろうな(お家は会社経営しているし、世田谷に家もある。将来は安泰)なんて豪華客船に乗る安心感がありました。

 結婚のお祝いにマンションを購入してもらって、すっごく幸せな滑り出しでしょう?

 でもね、お金持ちって実はとてもお金にシビアなんですよ!だから、お金が貯まるのだと再確認させられます。

 それは購入した新築マンションに訪れた時(女の子って自分の家をどのようにするか夢があるじゃないですか?)目の前には既に家具も(新品ではなく、多分世田谷のお家で余っていた物かな)食器や寝具もびっしりと詰まっていました。

(民宿ができるんじゃないの!)と息を呑んでいる私に

『新婚ってお金がかかるじゃない?だからこれなら安心でしょ』とにこやかに笑う義母の顔。

『うわぁ、ありがとうございます。嬉しいです』

そう答える他考えつきませんよね。

 またある時は、家に帰ると大きな間仕切りになるプランター?(喫茶店とかに置いてあるやつ)が部屋にドンともの凄い存在感で置かれていました。またもや絶句している私に義母は

『近所の喫茶店がリニューアルすることになって頂いたのよ。良いでしょう?』

(お母様が自分の家に頂けば良いんじゃなくて)

とは反論出来なかったけれど、断固拒否です。

『ちょっとこのリビングには存在感があり過ぎですよ。私不器用でお花の手入れもできませんし。お返ししても良いですか?』反対されたら即粗大ゴミに出す!と決めて可愛らしく抗議してみました。これは新手の嫁いびりなのかと疑問を持ったのですが、すぐにその考えは良くないと思い直しました。きっと悪気のない天然な方なのだと思う事にしたのです。

 ところがまたもやある事件が起こりました。

 私の弟が大学に通う為に下宿する事になったので、うちにある余っている食器や寝具を軽い気持ちで弟に持たせました。姉ですから少しでも可愛い弟に無理させたくないから。その夜

『貴女うちのお布団とか人に差し上げたんですって?』と義母から電話がありました。

『はい!知らない人とかではなくて私の弟が下宿するので、うちにあるお布団とか食器を持たせました。初めての一人暮らしで何も持ってなかったので。お陰様でとても喜んでました』

『うちのお布団は高級で・・・』義母は突然説明を始めました。これは家にあった物を無断であげた事に対する苦情です。つまりこのマンションにある物は私の物ではない(私が家族ではない)と言う事だと理解した時に心が冷えました。

『すいませんでした。大切なお布団を弟に持たせてしまって、すぐに新しい物を買って弁償いたします』と言うと

『あら、うちのは高級でどこどこの・・・』と始まった。

『分かりました。同じ物をお返ししますのでご安心下さい』

話しをしていて段々と切なくなってきました。

(これをチクったのはマザコン旦那しかいない)

 まぁその他にも色々ありましたが、これが決定打の一つになった瞬間だと思います。お母様からの苦情電話の後で実家に電話して、その言葉を伝えると(私と似ている負けず嫌いの母は)

『上等だわ。すぐに新しい物を買って送るから心配しないで』と悔し涙を流していました。

 丁度良いタイミングだと感じた私はすかさず

『私、実家に帰るわ。弟も家を出たし、弟の部屋との仕切りを外して広い一部屋に改造してくれる?嫁入り道具とかも入れられるように』と私が言えば母は快く承諾してくれました。

『分かった!すぐに工務店さんに頼むから、完成したら電話するわね』ととんとん拍子に話が進みました。

 ちなみに当初心配していた父の具合はすっかり良くなっていたので、安心して実家に帰る事が出来る訳です。結婚して丁度一年位経った頃でしょうか。私、ダメだと思ったら見切り千両が信条なんですね。

まぁ、これも人生経験だとプラスに考えよう

しかもバツが付くと、親から嫁に行かないのか等と言われなくなるので気楽です。

 それに一度嫁に行くと、結婚が言うほど良いものじゃないのが理解出来ます。結婚は焦ってするものでは決してない!クズを掴んだら一生の不覚です。それと恋愛は二人だけで完成するけれど、結婚となると双方の親族とかまで様々な問題がまとわり付いてきます。

 相手を良く見て、共に人生を乗り越える同士に値するのかを考えておくべきだと思います。

 女は家事や育児をする家政婦だといまだに考える男もいます。特に母親に甘やかされて育ったマザコンに要注意!(本人は理解がある方だと思っているから怖い)良く見分けましょう。

 最近は夫婦共働きが多いですが、それでも最初から旦那を甘やかさない方が自分のためですよ。家事を手伝ってくれる男は優良株ですね。

 役割分担をしっかり決めて教育しましょう。

 それでもハズレを引いたと思ったら、選び直す事をお勧めします。それは男も女も同じ事だと思います。幸せは与えられるものではなく、自分自身で掴むものなのだから。

 判断する時に、人の意見はあまり参考にはなりません。自分自身がどうしたいのか、どうなりたいのかを第一に考えて下さい。

 そして全ての人が幸せであるように願います。

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