手足が黒っぽく変色している。


ああ、きっと傷が化膿して、怪我の状態が悪化しているのだ。


頭の片隅では、これは非常にまずい事態だ、早く病院に行かなくては……と思うのだが、まったく、ここから動くに気にはならなった。不思議と、さほど痛みは、気にならなかった。


感覚は研ぎ澄まされたような感じで、視界に入っていない空間まで見えているような感じだ。自分の身体が、部屋全体にまで広がったような感覚もあった。


どこか、遠くで、クラシック音楽のレコードが鳴っているような気がした。あるいは幻聴か……。誰かが私のために、用意してくれたのかもしれない。


そして再び、睡魔に襲われた。

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