132. 宝物庫へ
「妖精剣と勘違いしたとみて
くっさい馬車で王城に戻って、汚水まみれの王子様が体を清め、お偉い様方が集まり……、始まるまで散々待った話合いは王妃様のたった一言で完結した。いやー、これ絶対私要らなかったよね?
「それとなく妖精剣が盗まれたと噂を流しましょうか?」
「何もしなくても結構です。市井にいらぬ不信感を持たせる必要はありません」
「1本は冒険者に下賜されました。帝国側が本数の不一致に気付くのでは?」
「気付かれても問題ありません。どちらでも
むむ、ダスターさんが南東の森へ行ってることも知られてるのか。1人でスタンピード並の戦力を発揮する冒険者、マークしてない方がおかしいのかな? ああダスターさん、首輪付になっちゃって……。
「子供達にはそうですね、模造剣5本を与えておきなさい。危なくないモノですよ」
「はっ」
おー、子どもたち良かったねぇ。代わりの剣がもらえるって。でもまぁ、王族が善意だけで動くハズがない。きっと子どもたちが凄い剣が盗まれたと騒がないようにとか、色々理由があるんだろうなぁ。
「ところで母上、妖精人形と盾はどうされましたか?」
話の区切りが付いたところで王子様が王妃様に質問した。第一王子もおられるけど、第二王子の方だ。盾ってのは最初に王子様が持っていた妖精の羽みたいなのが付いてた盾でしょ。それで、妖精人形は王城襲撃のときに暴れてた妖精様ドールのことかな?
「妖精様ドールは現在洗わせています。綺麗にしてから再度宝物庫に安置させますよ」
「危険では? またいつ何時暴れだすか分かったものではないかと。手の届かない所へ封印すべきと愚考します」
あの爆発ドール、またどこかで暴れてたのか。王子様が下水道に行ってて妖精様ドールも洗ってるってことは、今度は下水道で大暴れしたのかな? うわぁ、それは凶悪過ぎる。
「妖精様ドールは王城を帝国兵から救った救国の存在ですよ。下水道でも帝国兵侵攻を防いでおられたのでしょう。危険ではありません」
「……承知しました」
王子様がしぶしぶ引き下がった。あのドール、宝物庫行きなのかぁ。王城を救った素晴らしいドールだから当然かもしれないけど、あのドールのせいで馬車が暴走して酷い目にあった私としては、複雑な気分だよ……。
「それから、盾も効能が判明し次第、宝物庫行きです」
「対帝国戦で使用することは?」
「協議中です。妖精様武器を対国家戦で国が使用することに慎重論が出ていますからね。周辺国家の反応を確認中です。使用するにしても、誰に持たせるかという問題があります。皆が納得のいく者に持たさねば、妬み謗りなどいらぬ問題を引き起こしかねません」
「承知しました」
いやー、色々あるんだねぇ。
ところでこれって、私聞いてて良かったのかな?
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