第十五話
聖属性…回復や治癒、光といった属性の上位属性とも言われているけれど、僕は理屈は良く分かっていない。
まぁ、化粧の片手間に使ううちの母さんはちょっとおかしいんだよね。
『剣術で軽く魔物を圧倒しながら聖属性魔法を扱う主様も大概ではありますぞ』
それを言われたら何も言えないかもしれない。
蛙の子はなんとやらってね。
しかし、見せ場が無かったなぁ。
『見せ場があったらこの地域がボロボロに…』
「ならないよ! 僕を何だと思ってるの?」
『冗談よ』
冗談に聞こえないけども???
まぁ良いや。 母さんは魔族を引っ張ってどこかに連れて行ってる様だけど…。
あれは無視して良いか?
というよりも、よく見たら一部の冒険者も連行されてない? 影が薄くて分からなかったけど…。
『主様、あれは見なかった事に致しましょう』
それが賢明だね。
「それが賢明よー!」
母さん、人の心を読んだ様に叫ばないでください。 怖いです。
ただ、その瞬間気付いていたけれど、油断していたせいでもう一体の魔族の接近を許してしまった。
鋭い爪…それはもはや刃にも思える程であった。
今から剣を取り出すには遅い、魔法の発動も間に合わない!
拳を振るにも…。 防御をすれば一刀両断される!
従魔も距離があったり、召喚するにもロスがあるものがあったり。 【猫馬】 に至っては戦闘力は無い。
くそ!!!
と思った矢先。
「おいおい。 俺はこいつの事を任されてるんだよ…。 魔族なんかにこいつを殺されたら何を言われるか分かったモンじゃねぇ。 だよなぁ?」
「分かってるじゃなぁい?」
突如現れたガリウスさんと、母さんの会話…。
これが長年のアレだ!
いつも母さんにガリウスさんがぶん殴られてるとこしか見た所ないけど!
「たまにはよぉ、良い所見させろや!!!」
ドゴォォォォン!!!
いや、その腰に付けて居る剣は一体なんの為の物なんでしょうか?
「ふぅ。 ひっさびさに殴ったぜ!」
「いや、剣は…」
「剣なんて使ったら死んじまうだろうが!」
「いや、そんな力で殴ったら死んじゃうでしょ!」
「それもそうだ」
などと軽口を叩く僕達であったがそこの魔族が簡単に死なない事くらいは知っていた。
いつになったら寝たふりを辞めるのか、それだけを考えつつ僕らはずっと言い合いを続けていた。
夜になり、魔梟と呼ばれる鳥が鳴き声を上げていたが僕達を怖がって逃げて行った。
そして、朝になり…魔鶏という鳥が朝を知らせにやって来ようとしたが、恐れおののきその場を去った。
そして、痺れを切らした魔族は起き上がった。
「お前らいつまでやっとんねん!!!」
「「あ、喋った」」
「あ…」
馬鹿じゃないかこの魔族。
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