第十三話
街の外の魔物が一気に減ってる事に気付く。
話している間にここまで減らすなんて流石に通常はありえない。
「ははっ。 これはこの国で何か起きそうだな!」
「…もう起きてませんか?」
「それもそうか。 久々の戦闘でワクワクが止まらないぜ!」
この人、王子なんだって。
どこから取り出したのか分からない大きなハンマーを抱えて魔物に突っ込んでいってしまった。
僕より凄い人って沢山居るじゃないか…。
『さぁ、行ってまいりますぞ!』
「あ、うん。 僕は避難誘導をしてこよう、あの輪の中に入るのはちょっと…」
人々が集まっている広場に向かうと大混乱が起きていた。
「おい! 領主はいつ救援を出してくれるんだ!」
「ぼ、冒険者は何をやっている! 俺達を守れよ!」
「ま、ママ…死にたくないよ…」
これは、殿下と僕の配置が明らかに違うよね?
「皆さん! Bランク冒険者のマルクです! これより避難を開始するので落ち着いて僕に続いて下さい! 自力で歩けない方はいらっしゃいますか?」
「おぉ…神の救済じゃ…。 しかし、ワシは足が悪く歩けん。 この街と心中しようぞ」
「「「じ、爺さん!」」」
人望の厚いおじいさんなのだろうか。
ここで【猫馬】 を召喚する。
「おじいさんはこの子に乗ってください!」
「「「て、テイマー!?」」」
「じゃ、行きますか!」
民草の心の中は「じゃ」 じゃねぇよ! というツッコミで一杯になってしまっていた。
「お、おぉ! 首無しと死神が魔物を駆逐しておる!」
「お、おい! あれは魔物か? あんなデカい武器を軽々と振り回すなんて…」
「きっとこの冒険者様の従魔なんだろう! すげぇよテイマー」
「あれ? でもあの人見た事あるよ…?」
「あ、あぁ…あの、大きいハンマーをぶんぶんしてるのはこの国の王子です…」
「「「「はあああああああああああああ!?」」」」
「普通なら冒険者の僕が魔物の相手をすると思うんですけど、殿下とうちの従魔が魔物の群れに突っ込んでいってしまって…」
無言になってしまった。
中には天を仰ぐ人もいる様だ。
「このままフィーネまでいっきますよー!」
『マルク、魔物避けのお香と結界を作ったけど要るかしら?』
「ナイスタイミングだね!」
『こちらが移動すればあの馬鹿共も必ず着いて来るから気にせず進行しましょ』
元よりそのつもりだったけど…。
あの三人、戦いながらこちらの様子伺ってるし。
「そ、それじゃしゅっぱーつ!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
「待ちなさい!」
ギルドの受付の人? どうしたんだろう。
何にせよ少し禍々しい魔力だなぁ。 まるで”魔族”だ。
「ここのギルドの奴らは完全に洗脳してたけど、まだ住民は出来て無かったわね。 ここで逃げられてはあのお方の再臨が出来なくなってしまうわ」
「? あのお方?」
「知る必要は無いわね」
急に魔力が膨れ上がる受付嬢。
やっぱり魔族だった様だ。
むやみな殺生は良くないって教わったし、どうしたものかなぁ。
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