第十一話
「うっひょー! 空の旅って気持ちいい!!!」
えぇ、この人本当に王族なの?
僕らには分からない世界なんだろうな…。
それより、あと半刻もせずに着いちゃいそうだなぁ。
「殿下、あそこに見えているのがガイロリュートですよ」
「え、もう着くのか…。 こんな綺麗なのは初めてだ! 姉様にもいつか見せてやりたいね」
『ちっ! この我に魔力をぶつけて来る不届き者がいるぞ』
「「えぇっ!?」」
なるほど、攻撃してきているのはゴブリンマジシャンかな?
だとしたら上位種来てる可能性も高いのか。
ジェネラルか、キングか。
もう少しガイロリュートの街に近付いてから考えよう。
『全力で抜ける!』
魔力で風を防いでいるはずなのにもの凄い風圧を受けている。
しかも寒い!
ぐおおおおおおおおおおおおおお!
という轟音に耳を破壊されかけながらも僕と殿下は必至に耐え抜く。
軽く振り向くと苦笑いしながらプルプルと震える殿下の姿。
これから戦うのが怖いのか、それとも高所が怖いのか…。
「殿下、これをお飲みください」
「これは?」
「リラックス効果のある薬草を粉にしたものです。 水無しで飲めるので便利ですよ」
「なら貰うよ…! なんだこれっ! 口の中からスース―するぞ!」
そう言う物ですからね?
とは言わずそのまま放っておく。
このままガイロリュートの街に入り込んでしまうか?
「マルク、ここは外周から降りて街の中へと入ろう。 攻撃されてはたまったもんじゃないからな」
「はい、天馬! ここで降ろして」
『む、招致した』
「天馬、休憩しててくれ」
俺はスキルで天馬をしまう…。 しまうって言う言い方は御幣がありそうだが。
「殿下行きますよ!」
「ここからはFランクの冒険者アリエスとして扱ってくれ。 そこそこありきたりな名前だから王族だなんてバレないからさ」
「分かったよ、アリエス!」
「適応はやいなっ! 流石だよ!」
オーガやオーク、森狼なんかも居るな。
複数種族による同時攻撃だなんて…。 計画性が凄すぎるよ、これ。
上空を見てて思ったのは門がほぼ塞がれていること。
なら突破するしかない!!!
「なっ! 剣で戦うのか?」
「はい、戦えないとテイマーは出来ないからね」
「ははは…」
何ですかその乾いた笑いは!
僕は殿下を無視して駆け抜ける。
「おりゃああああああ!!! くっらええええええええええええ!!!」
思いっきり振り抜いたら、僕らの向かっている門の方の魔物がほとんど散り散りになる。
そこから門まで行き、門の向こうの人に声を掛ける。
「フィーロの街から応援に来た冒険者です! 開けてもらえませんか?」
「わ、分かった! 一瞬だけ開けてやる! 早く入るんだ!」
あ、入れてくれるのね?
「こんな状況で援軍は二人か…」
「大丈夫ですよ、僕ら強いので!」
街の外に居る魔物と比べると…ね。
そのまま門番は放置してギルドへと向かう事にした。
騎士団とかの応援が来るまでに全部狩りつくしちゃっても良いのかなぁ。
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