伝説の冒険者の息子は最強テイマーになったそうです
いいたか
第一話
セイロン領にあるガイロリュートの街にある冒険者ギルドに僕は訪れていた。
粗暴が悪い冒険者が多いせいか若干建付けが悪くなっており、両開きであるにも関わらず片方の扉は殆ど動かないにも等しい。
「すみません! 冒険者登録がしたいんですけど!」
「え、アンタみたいなガキが?」
受付嬢の態度がお世辞にもあまりよろしいとは言えない。
周囲の視線もなんか突き刺さってくる様で長居はしたいと思えない。
「はい、冒険者は誰でもなれるって聞いたので!」
「戦えんの? ジョブは?」
「戦えます! ジョブはテイマー! 後衛です!」
その瞬間、ギルドの中はドッ! っと笑いが巻き起こる。
文字通り“爆笑” であった。
「あ、あの…?」
「テイマーなんてウチのギルドで登録出来ると思ってんの? ウチは割とランクの高い冒険者が多いの。 その為にわざわざこの街にまで引っ越してくるヤツが居るくらいなのよ? アンタみたいな落ちこぼれが居て良い場所じゃないのよ! それに肝心のペットも居ないじゃない」
「ペットじゃなくて従魔なんですけど…。 居るには居るんですがちょっと出すと問題になってしまうので…」
更に笑いが大きくなるギルド内。
僕はこの状況に少しだけ苦笑いをしつつ、次にどうするか思考を巡らせる。
「ペットでも従魔でもなんでも良いのよ。 どうせスライムか何かなんでしょ? 良いからさっさと出て行きなさい? 不快よ」
「分かりました。 お邪魔しました」
僕は困った顔をしながら冒険者ギルドを後にした。
そして、知り合いの居る隣の街の冒険者ギルドへと向かう事にした。
『マルク、あんな事を言われて良かったの?』
「うーん。 あのギルドは居心地が悪かったんだよ。 僕としてはのびのびとやりたいからもっとゆったりとしたところだったら良いなぁ…」
『それもそうねぇ』
『ワレラハツキシタガウノミ』
『主様に絡んでくる輩が居たら我が切り伏せてやります故!』
「ははは…。 でも、このままだと僕、死霊使いだと思われちゃいそうだね」
この国に多数存在するダンジョンの中で最上級のS級に認定されている【死者の宮殿】
その宮殿の入口を守護する特殊個体の【
そして、その宮殿の一室をまるまる研究室に改造し、私室としても使っている同じく特殊個体の【
何より扱いが厄介なのが…そのまんま【
『『ははは…』』
『ケラケラ』
「そういえばガリウスさんにダンジョンに入る前に冒険者登録しろって言われてるんだった…。 怒られちゃうかな...?」
『ガリウス殿とやらを存じ上げませんぬが主様の成しえた事を考えれば陳腐な怒りなどゴミ箱に投げ捨ててしまう事でしょうな!』
どういう事なの!?
そう言えば移動用の魔物って持ってないけど…どこかでテイムした方が良いのかな。
確かこの辺りには【猫馬】 って言う猫の顔した馬みたいな魔物が居たはずだよね…。
分類上は馬の魔物なんだけれど、猫って名前にあるだけあって肉食らしい…。 しかも、何故か人懐っこいからテイマーだったら割と簡単にテイム出来てしまう不思議な魔物。
「さてさて、この近くに居たと思うんだけど…。 あ、居た…。 え、なんか変な色の奴居る!!! 何あれ!? ピンク!? え、隣のは金ピカ!? 普通のも居る…」
『主様、あれはきっと突然変異種でしょうな…。 同じ様な色は一生掛かってもお目に掛かれないやもしれぬ…』
「へ、へぇ…」
テイムした魔物は特殊な空間に移送して管理しておくことが可能だ。
つまり、大量に居ても邪魔にはならないのであれをテイムしてしまおう!
「お、丁度上等なお肉があったぞ! これでどうかな?」
うわ、ピンクのと金ピカのと普通のが五匹こっちに来た!!!
めっちゃ匂い嗅いでる…。 食べても大丈夫か確認しているのかな?
「うわ、一斉にこっち見た!」
『意外と賢いのね』
「ど、どうぞ! 食べてみて満足したら僕のお願いを聞いて欲しいんだ」
こくりと頷く【猫馬】
をこれは上々の滑り出しか?
…なんて思っていたのも束の間でした。
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