第十一話

竜の素材が使われている剣か。

悪くないな。 どれも手に馴染むし、何より重くない。

強いて言うなら体型的にはまだまだこの剣が大きいくらいが難点か?

武器は良いとしてポーションや食料を調達しなければいけないのだが、日数も掛かるからここは安価な物でも魔法鞄…所謂マジックバッグを手に入れておいた方がよさそうだな。


そう言えば町の案内にという事で一人付けてくれたようだが、声を掛けても良いのだろうか…?


「あ、あの、魔道具屋さんってどこにありますか?」


「ではご案内致します」


声掛けて良かったのならもっと早く声掛けたらよかった。


「ではお入り下さい」


魔力の満ち方が凄いな。

それで居て整っているなんて。


「ボウズ、何が見たいんだい?」


老婆の声。 店主のものだろうか?


「収納袋や、山登りに必要な魔道具を…。 目が不自由なので見繕ってもらっても宜しいですか?」


「はいよ。 目が見えないってのは辛いだろうに」


「生まれつきなので慣れていますよ」


「なるほどね、連なる峰にでも行くのかい。 坊主のその眼に光が宿ったらまた来な。 祝いに幾つか道具をやるよ。 ほれ、魔道具で出来た簡易テントやその他もろもろだよ。 普通の冒険者には高くて手が出ないだろうね」


「ありがとうございます! 買います」


「はいよ。 魔法鞄はオマケしてあげるよ。 容量はこの店で一番大きいし、時間経過も一番遅い物さね。 代金はツケておくよ。 生きて帰ってきたらまたおいで」


「分かりました。 ありがとうございます!!!」


「んじゃ、達者でね」


「お世話になりました!」


次は食料や水とかだがこれはすぐに集めきってしまった。

何もする事が無くなったので山へと向かう事にする。

山へと向かおうとする俺を着いて来てくれていた人が呼び止める。


「山まで距離がありますよ? 途中まで馬車には乗らないのですか?」


「歩いて行った方が鍛えられるじゃないですか。 何より冒険感があって楽しいし」


「閣下が気に入られている理由がはっきりと分かりました。 ではお気を付けて行ってらっしゃいませ」


「行ってきます」


野を駆け回って特殊な地図に示されている方向へと向かう。

野生の動物達が沢山居て、自然を味わっている感覚になるのは幸せかもしれない。

きっとこいつらは綺麗な色をしているんだろうな。


「良し、走るぞ!!!」


日頃から鍛えている俺は風の様に疾走していく。

それが楽しくて仕方ない!

早く、早く山に行きたい。 やっと俺が変われる、報われるのならそれは天からの贈り物だろう。


楽しみ過ぎて足が止まる事を知らなかった。

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