月の使徒

ゆきみや

プロローグ

とある世界の話をしよう。

 この星。いや、「月」と呼ぶべきなのだろう。

 月は人類をも解明出来ずにいる不思議な力で包まれており、その力は月に1番近いとされる地球へ降り注いだ。


  その影響か、現在の地球は「オーラ」という見えない気で満ちており、地球に生まれた落ちた生き物は5つあるオーラの内のどれかを体に宿して生まれてくるという。


 赤、青、緑、黄、紫。


 赤のオーラを宿した者は炎を纏い。

 青のオーラを宿した者は水を制し。

 緑のオーラを宿した者は風を愛し。

 黄のオーラを宿した者は光を操り。

 紫のオーラを宿した者は闇に潜む。


 と言われている。

 人々は


 赤を虫。

 青を魚。

 緑を狼。

 黄を鳥。

 紫を猫。


 と象徴し、崇拝している者が多いようだ。


 彼等は体内に宿された自身のオーラを様々な道具を用いて体外へ引き出し、放出することが可能だそうだ。

 一般的にその道具は「指揮棒」という名を持つそう。


 世界中の人々はその指揮棒を用いて自身の糧となるよう生活していて、闘争心が長けていると聞く。

 そのせいか、よく自身の能力を競い合う祭りが各国で行われているらしい。


 その中で、人類において最も優秀な指揮棒の使い手を各オーラからそれぞれ1名選び取られ、世界の王とも呼ばれている、教皇様から授与されており、5名の目には誇り高き勲章を預けられる。


 彼ら5名の存在は「ファイブ・ステラ」と呼ばれるが、「ファステラ」と略されたり、中には月が原点ということもあり、「月の使徒」と呼ぶ者もいる。



 おっと。話はここまでだ。「奴」が来た。

 奴は私達の前へ静かに跪いた。


「本当に行っちゃうの?」

「寂しくなるわね」


 皆は奴の行動を制止しようとするも、奴の心は揺らがないだろう。私は奴のことを1番よく知っているからな。


「早く行くが良い」


 私がそう促すと、奴は静かに立ち上がり


「必ず果たして参ります」


 それだけを囁くように言い、私達の元を去った。

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