第31話 玉津さん①

 聖司は色々な福祉の職種を知りたいと今度は家から車で30分の同じ県の施設で働く事にした。美世とは、休みの時に定期的に会っている。巾着縛りが気に入ったようで、ワンピースで来るようになった。なので、ドライブで人気のないところに行けば、聖司のタイミングでワンピースを捲り巾着縛りをして、放置や、いたずらをする事が増えた。でも職場が変わった事で職場内でのイタズラがなくなったから物足りないと嘆く美世と少しずつ距離が出来てきて、美世は東京に新たな刺激を求めに旅立った。


 その美世と関係を続けている間にも聖司は新たな出会いを探していた。今回の施設は夜勤も多く、拘束時間も長いので、中々自由の時間が少なかったが、ほとんどが女性の人が多い。男性が女性の利用者の身の回りの世話をする事はあまり適切ではないので、自動的に女性の職員が多くなっている。


 聖司は男性なので、女性より夜勤の勤務が多い分、日中の休みが多かった。夜勤が終わり、日中休みで、また夜勤て感じの日もあったりと寝るのは仮眠みたいな事が多い。日中も遊ばずに寝ると何もできないので寝ずにとりあえずドライブとかをしていた。


 仕事はシフト制なのでみんなバラバラの勤務なので飲み会などはない。その中で比較的シフトが同じになる事が多いのが、短大を卒業して1年になる、22歳の玉津瑞穂さんだ。


 玉津さんはいつもドタバタして忙しくなくても忙しそうだ。つまりせわしない。見ているだけで疲れる、顔はかなり可愛い顔なのでもったいない。もう少し落ち着いたらいいと思うが、無理だろう。休憩の時もご飯を食べながら、携帯を見て、音楽を聞いて本を読んでと情報過多だ。


 玉津さんには、これがいいのかとは思うがそんなに生き急がなくても良いと思うが。


 他にも福田さんという、やたらボディタッチの多いオバさんっぽい話し方の30代の女性や、仕事中いつの間にかいなくなって、管理者が現れると何処からか戻って来て普通に仕事をする、和田さんという40代の女性など個性豊かな人ばかりだ。


 聖司は仕事に追われて、なかなか職場の人と、話が出来なかった。してもケース会議や引き継ぎくらいだ。

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