第55話

「兄貴うるせーよ。で、何で今思い出したの?」


「亮介くんのこと、お兄さんが大事にされてたから…」


「いやいや違うから!うざい足助がしつこく話してきたせいであって、亮介のためじゃなく、あなたのためなんですよ?」


「え!私?」


「足助から大学の教授と聞きました。俺も獣医で、同じ大学出身です」


「そう、なんですね…知りませんでした」


「亮介なんて、なんにもいいとこないですけど、それでもよければ、これからもよろしくお願いします」


「は、はい…ありがとうございます」


「おい兄貴。なんにもいいことないだと?」


「今日は帰ります。失礼しました」


あっさりと帰っていった。


「兄貴はなに考えてんだか。…あ、連絡まだ途中だった…うーわ、もう11時だよ、笑理。風呂入って先に寝てなよ」


「うん…」


亮介くんの顔をじーっと見る。


「ん?」


「生理終わったから…一回だけ、したい…」


「…いいよ」


そのままされるがままであった。連絡を遅らせてしまってごめんなさい。私が人気者の亮介くんを独り占めしてる。


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