第28話

「絵里ちゃん、本当は彼氏じゃないんじゃない?」


「彼氏ですよ。恥ずかしがり屋なんです」


「…そう?照れてなかったよ」


「顔に出ないんです」


「すぐ帰ったけど、よかったの?」


「はい。帰る前に会いたかったとか」


「…ふーん」


美香さんに怪しまれてる。嫌だ。私も食堂に戻ろう。その途中、いろんな人の話し声が気になった。


「青上さんの彼氏ださかった」

「おじさんじゃないの?」

「お金取ってるとか?」


…そんな、嫌な噂になってる。無視して食堂に入ると、愛理さんはまだいた。


「あ、絵里ちゃん!さっきのお守りどこにつけるの?」


「…つけませんよ。お守りはそういうものじゃありません」


「そーなの?」


愛理さん、絶対みんなに話してる。亮介くんはいない。…なんで?ちゃんと説明してよ!私の彼氏はまじめな人だって言ってよ。だから心配してお守りをわざわざ持ってきたんだって…。席に移動したら、愛理さんはもういなくなった。


「亮介、見た?青上さんの彼氏」


「見たことある」


亮介くんは席移動してた。照明の人と話してる。


「じじいなの?」


「さぁ。年は知らない」


「お前のほうが絶対いいのに」


「いや、俺には彼女いるよ?」


「あー、それ!写真ないわけ?」


「あるよ」


携帯見せてる。


「うわ、男?」


「女の子だし」


「男みたいな顔だな」


「髪が短いだけだし」


「どこの誰だよ」


「大学の教授」


なにそれ。嘘ばっかり!

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