第18話

「そんなの嘘。どうみても男」


「…も、もう帰ろう」


「さっき話したんだけどな。じゃ、帰るから」


亮介くんに手を引かれ、そのまま歩く。さっきの人は、追っては来なかった。


「あの人、前付き合ってた人だったんだよね…声かけてしまった…」


「ん?いいよ。それにしても、なんであんな変なこと言ってたんだ?」


「…私が、男の子に見えるせいじゃない?亮介くんが男の子が趣味なんておかしいって」


「ちゃんと言ったのに」


「なんか怖かった…」


「普段おとなしいよ。でも、スイッチ入ると人変わる。女優やってるからそうなのかな」


「女優?そうなの?」


すご…そんな人と付き合ってたんだ。確かに綺麗な和風美女みたいな感じであった。


「たぶん、亮介くんのこと…まだ好きなんだよ」


「なんで?彼氏いるよ?」


「…え」


そうなの?


「すごい久しぶりに話したんだけど、あんなつっかかるとは。びっくりさせてごめん。笑理がせっかく来てくれたのに」


「…今日は学会あったから外にちょうど出てて。亮介くんに会いたくなったから来ちゃった」


「…へぇ、そっか。そうだ、これから買い物行くよ」


…あ、そういえば言ってた。

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