第16話

「でー?彼女に結局あげたの?」


「いえ?今日買い出しに行きます」


「まーじ?青上さん引いてたよ?あんた女装趣味なの話してないの?」


「いや、だから彼女にあげるんですって」


「いや、普通あげないでしょー」


「そんなの関係ないですよ」


また亮介くんの近くに座ってしまった。今はお昼休暇ではなく、合間の休憩時間。まさか被るとは。


「同棲することになりました」


「は?まじで」


「彼女から言われまして。いや、俺も言いたいと思ってたんですけど、まだ2週間?くらいしか経ってないし、キモいかなと思って帰ってたんですけど」


「…亮介、家上がり込んでたわけだ」


「はい」


あの男の子の家に住むんだ。…家出る時、気をつけないと。休憩はやめて、舞台装置の人たちのいる職場の方へ移動する。


「あ、お疲れ様です」


「絵里ちゃんだ!珍しいね」


もともと私もここにいた。ので、知ってる人も多い。


「そういえば、亮介くん彼女できたって…」


「あ〜一緒に住むらしいよ?」


「それ、男の子みたいですよ」


「え、それは…知らなかった」


「その子に女装させてるとか」


「…亮介がそんなことを?」


「内緒にしてくださいね。美香さんが見たらしいです」


「…へぇ、亮介そんなことに」


「安菜さんいないですね。では失礼します」


さっと中の様子を確認するようにして、部屋を出た。これなら不審者に思われない。

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