ERI

えいみ

劇団

第1話

劇団の食堂は、休憩する人たちでごった返してる。空いている席に座ると、近くから話し声が聞こえた。よく知ってる元カレの柊亮介ひいらぎりょうすけくんだ。なにやら、衣装担当の人と楽しそうに話していた。

…はぁ、自分の仕事に関係ない人と話してもなんの意味もないのに。呑気すぎる。


私は昼ごはんのおにぎりを食べつつ、携帯でメールをチェック。…あ、彼氏の藤谷ふじたにくんからだ。


[最近、梅雨なので湿気が多いですね。体調には気をつけてください。]


…なんだか年上みたい。同級生なのに。

これじゃ…はい、ありがとうございます。くらいしか返事できない。本当に彼氏…なんだろうか?


「いや、俺が着るわけじゃないですよ」


また、亮介くんの声が聞こえてきた。うるさい。


「亮介は女装趣味になったのか〜?」


「いや、だから彼女にだって話しましたよ」


…え?亮介くん、なんの話?


「そんなの普通やらないんじゃない?」


「別にいいんです。教えて頂きありがとうございました」


亮介くんは、そのまま立ち去った。

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