ペット

私の頬を

やや強めにつねるあなたが

いたずらっこな

そんなあなたが

いじらしくて

可愛いのです


でも

あなたは

私の事を

見つめていながらも

その瞳の奥で

どこか

寂しそうにするのです


あなたにとって

私は

恋人では無いから


私は

あなたの

1匹のペットなのだと

わかっています


恋人には別れが来る


でも

ペットは

その命が尽きるまで

添い遂げなければいけません


時には叱りつけて

躾をし

そして優しく

頭をなでるのです


その

私に付けられた

重く

でも

すぐ切れてしまいそうな

鎖が

私たちを

繋ぎ止める

唯一なのです


あぁ、どうか

その鎖をはなさないでくださいまし


あなたが

その鎖を

離したとて


自由に

羽ばたけるようになったとて


わたしは

ここから動くことなど

できないのだから


ただ

飼い主が

戻ると信じて

待つことしか

できないのだから


わたしは

あなたの

恋人では無いから


あなたは

わたしのからだを

求めることなんて

致しませんでした


それが

寂しくて

寂しくて

寂しくて

独り

新月の夜に

泣くのです

鳴くのです

啼くのです


なきつかれて

あなたの腕の中に

丸まるようにして

ただ、

朝がきて

あなたが

そのどこを見ているかもわからない瞳で

おはよう

言ってくれるのを

待つしかないのです


そして

今日も

朝が来るのです













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