真琴
今回、感想欄で質問に答えておりましたら、勝手に脳内でストーリーが構築されてしまったので吐き出させていただきます。
こちらのお話は本編の裏に少しだけ触れたお話で、詳細を物語るものではありませんが、本編を少しでもハッピーエンドのまま心に残したい読者様は避けていただけますようお願い申し上げます。また、新しく読まれる読者様も、少し時間を置いてから読んでいただけますと幸いです。
それでは、復縁モノ大好き侍(ハッピーエンド味)が、ヒロインの悲惨な過去をイチャラブ(エロ抑え目)に変えてお送りさせていただきます。
◇◇◇◇◇
「兄貴、話が違う。真琴ちゃんは俺が引き取ると言っただろ!」
俺は兄貴の
兄貴は俺が役員を務める会社の社長で、会社には親族も多く勤めている。兄貴は頭が良く、会社経営の才能も、そして何より運があった。比べて俺は、体格はいいがさして才能は無く、兄貴のおかげで役員に居座ることができている――などと言う親族も居るが冗談じゃない。
俺が引き取ると言っていたのに、兄貴は
「総司くんからな、もしもの時は真琴ちゃんのことは頼まれていたんだ」
総司は俺の同級生。兄貴の友人の佳苗の結婚相手だ。つい先日、病気で他界した。まあ、病状が急に悪化したのは佳苗が交通事故で亡くなった三年前からだがな。総司と佳苗はそれはそれはお互いを愛し合っていた。だから佳苗をモノにするには時間がかかった。ただ、ようやくモノにしたはずが、その夜の帰りに事故で死にやがった。
幸い、俺のことはまだ総司には伝わっていなかったようだったので、その日の脅しに使った写真は全て消した。
「光彦、お前は小さい頃から隠し事が上手だったが、証拠がないからと言って自分の所業がバレていないと思うなよ?」
「なんだと? 俺が何をしたって言うんだ」
そうだ、証拠は何もない。言い逃れはできる。
兄貴は昔から俺の周りで何か問題が起こると俺を疑っていた。何故証拠もないのに俺がやったと疑う。それがずっと腹立たしかった。全部証拠は消したはずだぞ。
俺はとにかく真琴ちゃんから遠ざけられた。
◇◇◇◇◇
「光彦、お前また隠し事をしているだろ」
「してないっつってんだろ。証拠もなく疑うな!」
まただ。また兄貴が疑ってくる。だいたい
男の方だって仕事でちょっと間違った情報を与えてやってミスを誘っただけだ。出張が多かったのだって、手当てが出るから喜んでたじゃないか。出張先でも遊べるだろ。よかったじゃないか。
俺はいい加減、頭に来ていた。だからちょっとした悪戯だったのだ。まさか安全具ひとつ外しただけで荷が崩れて運悪く
◇◇◇◇◇
兄貴の葬式には大勢の人間が訪れた。どれだけ人に好かれてたんだ。そしてその中に兄貴の息子を見かける。兄貴によく似たひょろい男だ。だがその隣に居る女。若い頃の佳苗によく似た、俺の見込み通り、いやそれ以上に美しい女が居た。何よりあの喪服をエロくしてるでかい乳。十数年来のあの劣情が俺に蘇った。
俺が兄貴の代わりに社長に就任した後、真琴の身辺を調べた。最初は接点もなく、いくら兄貴の弟とは言え気軽に近づくわけには行かなかった。しかし真琴は優秀で、三年後にうちと付き合いもある大手に転職した。俺は真琴のデザインを誉め、高額の報酬で彼女への仕事を依頼した。
あるとき真琴を慰安旅行に誘った。俺は結婚の話をダシに倫子を使って真琴に薬を盛った。真琴は倫子と二人部屋だったため、襲われたことにも気づいていない様子だった。真琴の体はよかったが、やはり薬が効いていてはまるで面白くない。
脅しのための写真も撮ったが、うかつに犯罪の証拠を出すのも考え物だ。そして真琴は倫子などと違って下ネタを毛嫌いする。迂闊だった。俺は改めて時間をかけて彼女との仲を深め、倫子を使って遅い時間に二人きりになれるよう、機会を作っていった。同時に、別の脅迫のネタも金と時間をかけて手配した。
そして何度目かの機会のとき、俺はいけると思い真琴を誘った。しかしあっさりと断られる。旅行の写真も使った。しかしこれも逆に訴えると返された。俺は最後の脅迫手段を使って旦那の会社を潰すと脅したが、この交渉で得られたのは着ている下着だけだった。
結局、最後には劣情に負けて真琴を力で奪うことになった。
後始末に苦悩しそうだったこの衝動的な行動は、意外にも功を奏した。
真琴は処女かと思うくらいに経験が足りていなかった。その上、若いだけかと思っていたが十二分に体力があったため、俺を満足させてくれただけでなく、真琴自身も悦びに悶える結果となった。体力があると言うのはそれだけで大きい。そしてもちろん、動画には納めさせてもらった。
翌日からは脅してやるだけで真琴は容易に誘いに乗った。ついでに兄貴の不幸な死にざまについても仄めかしてやったらさらに従順になった。あの兄貴によく似た男から真琴を奪ってやった征服感に満たされた俺は、さらなる欲望に身を任せた。真琴を殴ったのだ。脱がなければ見えない場所に痣をつけ、旦那との時間を奪ってやることにした。飴と鞭で真琴を躾け、俺に逆らえないようにしていった。
ただ、真琴は俺を選ぶような言葉は決して発しやがらなかった。これだけは、これだけは本当に俺をイライラさせた。俺はいい加減、真琴からあの男を切り離す必要があると感じ、やつの家に向かったのだ。
◇◇◇◇◇
六年振りに見た芳潔の体は年齢を感じさせるどころか、以前よりも逞しくなっていた。
「筋トレしか楽しくなくてさ。無駄に体力が余るんだ」
彼は別に体力が無かったわけじゃない。運動もしていたし、夜の営みでも私のせいで物足りなそうにはしていた。
彼に抱かれると幸せに満たされた。抱き合ってキスすると
彼は私をゆっくりと抱きながら質問した。私も嘘をつくことなく全て話した。
「最初はあの慰安旅行。私は同室の村尾に薬で眠らされていたみたい……」
「村尾ってお局様か。あの人は見なかったね」
「私が脅したら次の日には逃げちゃった……んっ」
「ごめん、ちょっとおかしくって動いちゃった」
「村尾の手引きだと思う。会社でも何度も
「――貴方を裏切ったあの日は、口説かれたのを断ったら旅行の写真を見せて脅してきた。でも、貴方ならわかってくれると思って拒絶した」
「嬉しいよ」
彼はしばらく興奮して私も会話どころでは無くなった。
「――でも、貴方の会社を潰すと脅してきたから」
「体を許したの?」
「ううん、全部拒絶したから下着だけ交換材料に……」
「何それ、おかしっ」
「でもそれがいけなかったの。結局……」
「いいよ、言ってごらん。受け止めてあげる」
「押し倒されて無理矢理犯されました……」
「大丈夫だよ。君を襲ったケダモノは僕が仕留めたから」
「そうね。素敵だった」
自分でもおかしな会話をしていると思う。でもなにか、生き物としての根源的な解決方法に思えた。繋がっていることも含めて。
「その時の動画に映った私は恥ずかしくて、みっともなくて、貴方に知られたくなかった」
「それで教えてくれなかったんだね」
「それから私は肉欲に溺れてしまいました」
「そんなによかったの?」
「わからない。でも長く続いてると、だんだん収まらなくなってきた」
「朝まで? でも、朝帰りは無かったよね」
「そんなに続かない。最初以外は
「わかった。じゃあこのまま朝までしようか」
「あの日、トロフィーを片付けてたら殴られた。電話を掛けるなとも言われた。私もその頃はとても弱っていて、釈明なんてできる状態じゃなかったけど……」
「――それで
「それで手際が良かったのか」
「そのあと連れていかれて、彼の家で……そこからは酷かった。貴方に酷いことも言った」
「そうか。つらかったね」
彼は私の頭を撫でてくれた。
「貴方が
「――それからはもう形振り構わなかった。貴方の親戚を脅して協力させた」
「真琴はすごいね」
「すごくなんかない。今でこそそう聞こえるかもしれないけど、そんないいものじゃなかったし、最初は怯えてた」
「いいよ、全部聞かせて。時間はたっぷりある」
その後、私は
「あなたのお父さんのことは結局、聞き出せなかったの。ごめんなさい。それだけは今でも心残り」
「いいよ。真琴がそのことで辛い思いはしなくていい」
「あなたが忍び込んでたのはわかっちゃった。皆にも知られてたから、知らないふりをしておいてあげてって」
「あの恰好、バレてたの?」
「ごめんね……」
私が謝ると彼はくつくつと笑ったけれど、彼の横隔膜の動きが伝わってきて、私はそれどころではなくなった。それ以前に、ずっと動かないままがこんなに高ぶるものだとは思ってもいなかった。
「貴方には刺されてもいいと思ったの」
私は息も絶え絶えにそう打ち明けた。
「そんなことは考えてもなかった」
「うん。でも、資料だけは手に入れたかった」
「ありがと」
そして芳潔に罪を犯させてしまったことを酷く悔いたことを話すと、彼はようやくその気になってくれた。限界まで高ぶっていた私は、
◇◇◇◇◇
「マ、マジか。お前ら朝までヤってたのか……」
朝早くに部屋を訪れた芳潔の友人の大樹くん。彼は遠慮なくスイートルームに入ってくると、テーブルの上の果物を頬張りながら言う。
「六年振りだからいいでしょ」
「それにしたって、どんだけ体力あるんだよ」
「大樹みたく、ずっと腰振ってるわけじゃないから」
「なな、なんでそんなこと知ってんだよ」
「いや、なんとなく……いつも変な動きしてるでしょ」
「マジか……ていうかお前、前は夜のことなんて絶対話さなかったのにどうしたんだよ」
そう、知る限り彼はそんな話は絶対にしなかったはず。それも私の前でなんて……。
私が顔を赤くしていると芳潔は答えた。
「僕は大樹に助けられたのかもしれない。こうやって話すと心が休まるんだ」
「いやいやいや、オレは全く心中穏やかじゃないから!」
「ごめん、もうちょっとだけ寝てから食べに行く。二十分くらい寝かせて」
「ああ! もうニ十分でも二時間でも好きなだけ寝てろな!」
大樹くんはテーブルの上の果物を引っ掴むと出て行ってしまった。
「もうちょっとだけ寝よ」
「うん」
私たちは六年ぶりの穏やかな眠りについた。
妻が巨乳だったから耐えられた、妻が貧乳だったら致命傷だった 完
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