第14話

 とはいえそのまま続けても成功するはずがないため何かいい方法がないかと考えることに決め頭をひねる。そんな中ある方法を思いついたためそれを実行することにした。すなわち彼の体に触れることにより流れ込んでくるイメージを利用することにしたのだ。理由としては直接触れ合う方がより鮮明かつ正確に把握することができるからだった。またこれなら他の方法に比べて比較的短時間で行うことができ負担が少ないこともメリットとして挙げられるだろう。……ただ一つ懸念があるとすれば私の心臓が持つかどうかということである。そのため覚悟を決める必要があるものの躊躇うことなく行うことを決意した私はゆっくりと手を伸ばしたところでふと気が付いたことがあった。よく見ると顔色が悪かったのである。おそらく緊張によるものだと思うがそれでも放っておくことはできないと考えて休憩を取ることを提案したところ素直に応じてくれたためにほっとした。……こうして無事に回復させることができた後いよいよ本番に入ることになったのだがいざ行うとなると急に恥ずかしくなってきたせいかなかなか踏ん切りをつけることができなかったのだがそんな時彼は優しく微笑むと共に「大丈夫だから」と言ってくれたことで決心がついた。その後すぐに気持ちが落ち着いたことを確認するとともに意を決して触れると同時に一気に流し込むと同時にあることに気づいた。……なぜか彼の周りに精霊が集まっているということにだ。

慌てて離れようとしたが既に遅く次々と集まってきておりあっという間に視界いっぱいに広がるまでになった。それだけでも驚きだというのにさらに信じられないことが起こった。なんとそれが次々と吸収されていったからである。それも大量に……。

やがて全てを吸収し終えた頃には疲れ果てた様子を見せていたのだがどうやら無事成功したようであることに気づきひと安心したものの同時に不安を覚えた。……なぜなら先程の出来事で確信してしまったからである。もし仮にこれが同じ方法で何度も行えば間違いなく死ぬことになるということを……だからこそ慎重にいかなければならないと思いつつこれからの事を考えると嬉しくてつい笑みを浮かべてしまう自分を抑えることが出来なかった。……ちなみにこの時のことを後から聞いた話によるとまるで花畑の中に浮かぶような光景だったということだったらしい(のちにその話を聞いた時は思わず納得してしまいそうになった)。


---それは本当に偶然のことだった。まさかあんな場所で再会を果たすとは夢にも思っていなかったからだ。正直な話をすればどこか遠くの国で幸せになってくれればそれで良かったと思っていたぐらいでありとてもじゃないけど会いたいと思える相手ではなかった。なのにどうして今こんなことになっているのかといえばすべてはあの女のせいでしかない。いやまぁ別にあいつが悪いわけじゃなくて勝手に勘違いした挙句に暴走して迷惑をかけたこっちの方が悪いことはわかっているんだけどね。だけどどうしても許せなかったんだよね。だってさ、せっかく再会したっていうのにあれはないよ!もうちょっとやり方とかあったと思うんだよねぇ~。まあ確かに?ボクも悪い所がなかったとは言えないかもしんないし?そもそもの原因を作ったわけだしぃ~、そこは認めざるを得ないかなとも思うわけですよ。それにしても酷すぎるわーマジありえんし。そりゃさすがに怒りたくもなるってもんですよ。それに加えて今度は魔王退治だとかさ……ほんっと勘弁して欲しいんですけ……ど!?

「……ああそうだぜ。オレ様こそが魔族の頂点に立つ存在なんだからよぉ!」

そう言いながら不敵な笑い声を上げるその姿はまさに狂人そのものといった感じであった。

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