22 Erry R erde

 場末のナイトクラブ。ジャズの流れる店内。

 店員はみんな、人型の遠隔操作の機械。人よりも、圧倒的に綺麗で。圧倒的に接客がうまい。顔も見た目も、人より幾分も良い。


『よぉ。肩の調子はどうだった?』


 ピアノの前に座る。話しかけているのは、バーテンダーやってる機械、の向こう側にいる、バーのマスター。


「大成功です」


 こうやって、喋れる。そして。彼もいる。


「またここで、ピアノを弾いてもいいですか?」


『これで復帰だね。まぁゆっくり弾いていきなよ。好きなだけね』


「ありがとうございます」


 彼。バーのマスターが、透明なサイダーを出している。味も透明。

 どこまで、できるだろうか。そして、どうなっていくんだろうか。考えても仕方なかった。わたしは、わたしにできることをするだけ。


「よし」


 弾こう。

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