14 Erry R erde

 銀色の飾りが、かすかに光る。その光で、目覚めた。


 彼。


 黒いスーツ。銀色の飾り。


 彼は。

 これから。

 しぬために、どこかへ行く。


「起こしちゃったか」


 彼。

 わたしの身体にふれる。かなしいほど、やさしく。


「両肩。よかったな」


 起き上がって。彼に抱きつきたかったけど。肩が動かなかった。

 できるかぎり。彼にくっつく。自分の胸が大きいことに、今更ながら、気付いた。そのせいで。彼に近づけない。もどかしい。


 彼の。

 耳もとに。

 できるかぎり。

 近づいて。


 今。わたしのできる。

 すべてを。

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