第35話:ありがとう(Side:ノエル)
私は悪役令嬢、ノエル・ヴィラニール。
生まれた瞬間から私の運命は決まっていた。
どんな生き方をしても、必ず殺されてしまう人生。
周りの人が悪いわけではない。
この世界『アリストール魔法学院は恋の庭』の理……。
そのことに気づいたとき、泣いても泣いても悲しみは癒えなかった。
そんなある日、こことは違う世界から一人の女の子がやってきた。
龍渡のえるさん。
私が何度目かの断罪をされたとき、日本という異世界から彼女の魂が飛んできて、私の身体に入ったときはビックリした。
そのまま、彼女は私として生まれ変わった。
今だから言うけれど、最初、私は心苦しくて仕方なかった。
どんなに頑張っても、最後には必ず殺されるキャラクターに転生してしまうなんて……。
これほど悲しく恨めしいことはないでしょう。
でも、あなたは私として生まれ変わっても、決して塞ぎ込むことはなかった。
あなたは私なんかよりずっと強いわ……。
そして、あなたのすごいところはそれだけじゃない。
私を殺すはずの人たちとも仲良くなってしまうのだから。
今までの人生からは考えられない光景よ。
のえるさんはこの世界にない特別な力を持っている。
あの邪悪な存在でさえ手も足も出ないほどに強力な……。
心の奥底にいても、安心して見ていられた。
でも、本当にすごいのはあなた自身なの。
私だったら殺されるだけの運命を変えてしまった。
あなたのおかげで、私も楽しい人生を送れているわ。
だから、ありがとう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます