怪異ビッグ3
本稿では、作品に登場した怪異ビッグ3「山へ誘うモノ」「赤い女」「男の子」について、事実関係(とちょっと考察)をまとめていこうと思います。
・山へ誘うモノ
お嫁さんを求めて女漁りをしまくっている、男の姿をした怪異。
「おーい」「かきもあるよー」などの文言で女を山へおびきよせようとする。
怪異に遭遇した女性は「嫁」になり、自殺や行方不明となっている。
一方、怪異に遭遇した男性は「しもべ」になり、「山へ行こうよ」と不特定多数の女性を勧誘。例としては、youtuberのゆっきー等。
基本的に「山に来た人間」が遭遇する怪異であり、後述の「赤い女」や「男の子」と違って積極的に出張する印象はないが、鳥取県の女子大生のもとには出張しているのが個人的に不思議。(「またきてくださいねえ」と言ったのは、「山へ誘うモノ」本人なのだろうか?)
また、本体はあまり山から出ないものの、ネットで出会い厨をしたり、「まっしろさん」を行ったアカウントをSNSでネトストしたりと、ネット社会にも適応していく。「山へ誘うモノ」に限らず、作品に登場する怪異は少しずつ力を強めている印象。エロサイトへの書きこみでは、林間学校の時とは違って敬語を使っていたので、なんとなく知性が発達している印象がある。
この怪異は大きな口を持っている。後述するが、「男の子」もまた同じ特性を持っている。
怪異には「まっしろさん」「ましろさん」「ましろさま」など口伝特有の表記ゆれが見られるが、これらは「ましらさま(猿の古語)」が訛ったものであり、それすら「まさるさま」を隠すために広められたものだった。
元凶となった男「まさる」は、ただの人間が神格化されるうちに神と同等の力を持つようになってしまったモノだが、「読者からの手紙 2」で「痴れ者」と言われていたり、「インタビューの文字起こし 4」で「腫れ物扱いされていた」「もともとちょっと変わったところがあった」と言われているので、知的障害やそれに似た何かを持っていたんじゃないかと個人的に思っている。
・赤い女(ジャンプ女)
赤いコートを着て、手を挙げた状態でジャンプを繰り返している怪異。首を吊って死んだためか、首がぐらぐらしている。一見したところ意図不明で怖いが、この動きは首を吊った息子・あきらを必死に下ろそうとしている時の動きと符合する。
話を聞いただけでも伝染するなど、非常に感染力(この言い方あっているのかな)が強い。その上積極性があり、場所に囚われず近づいてきている・見つけられたがっている怪異でもある。
ネット社会への適応ぶりは「山へ誘うモノ」よりもすさまじく、ネット掲示板に画像を貼ったり、さらには書きこみまでして凸しようとする軍曹を巧みに誘導したり、コピー機をのっとったりと電波にのってあらゆるところに干渉していく。
とにかく情報の拡散を目的としている怪異で、その意図は「あきらの友達(あきらが喰う命)を見つける」ことと、「自分と同じ役割を担う『母』となった女性を見つける」こと。
生前のエピソードとしては、新興宗教に傾倒していたらしいことが挙げられる。おそらく、息子の死後、所属していた教団から石を持ち去り、自宅にて復活を試みた。畳の下に石があり、そこが自殺現場だと言われているところを見ると、自分の命を犠牲に「あきら」を召喚したのかもしれない。
あるいは、息子あきらが自殺した後、その首つり死体を下ろそうと飛び跳ねていたとされているが、「飛び跳ねる」という行為が教団にて「宇宙に近づくための行為」とされていることから、この時も息子の復活を試みていた可能性がある。
卒論を書いたAくんや、語り手に取り憑いたあと、「男の子」を呼んでいる。行動原理はあくまで息子への給餌であることはこの辺からもうかがえる。
・男の子(あきら)
母親の「赤い女」同様、首を吊って死んだため首がぐらぐらしている。基本的に「赤い女」とセットになっている感じがする。
「まっしろさん」の身代わりとなって死んだあと、母親の手によって復活し(この時母親は「山へ誘うモノ」と交配したという説もある)、「山へ誘うモノ」の性質を一部受け継いでいる。
一つは、生贄を求めること。しかし、身代わりは1回でよかった「山へ誘うモノ」に対し、「あきら」は繰り返し命を求める。おそらく本人の命(人間)を食うまで目をつけられたままである。怖すぎ。
もう一つ、「山へ誘うモノ」と類似する特徴として、大きな口をあけているということがある。
これは先述の桐晩カキ子氏の動画で言われていたことだが、霊的なモノは悪質になればなるほど頭、とくに口の部分が大きくなるという話があるらしい。そのことからも、「あきら」がかなりヤバい霊であることがうかがえる。
「山へ誘うモノ」を凌駕しかねないとんでもない悪霊。この子が一番怖い。
ひとつ謎なこと。「山へ誘うモノ」は飛び降りという形で肉体を提供させているのに、あきらとその母親はどうして首を吊って死んだのだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます