前のエピソード――2023/06/03 三日前

　明日には記憶が消滅しているかも、と不安を抱えながら息をしている。じわじわと心が不安に蝕まれつつある。

　せめて分かる範囲でストレスを軽減しようと、夜中にポテトチップスとかえびせんべいとかを食べたりしている。効果の程は分からない。あ、あと、このところご飯はちゃんと食べている。

　そして記憶が消えてから二度目のバイトの日になった。仮に労働がストレッサーだった場合、明日また記憶が消滅する可能性がある。だからって、怠けるわけにはいかないのだけど……。

　解離性健忘になったらどうしたらいいのか、という情報を探したが、ネット上に有益な情報はあまりなかった。解離性健忘についての説明とか、治療法とかの記事はあるのに、今の段階で私がどういう心構えでいればいいのかがどこにも書いていない。再発する可能性についても調べたけれど欲しい情報はなかった。

　──で、今、上記の文章にあんまり見覚えがない。

　私はこれを出勤前に書いたのか。むーん。

　短期記憶がどんどん消えている。ここまで物忘れが酷かったことは今までなかったはず。いや、英単語帳の暗記とかは一ページで挫折するような雑魚だったけれど、でも例えば百人一首の全ての歌とか、おくのほそ道の序文なんかは、そっくり丸暗記したことがあるから、元から短期記憶が絶望的なわけではないと思うのだ。やっぱり今の状態はイレギュラーだ。

　うむむ、明日また起きた時に記憶がスポーンと消滅していたらどうしよう。それにこの先、出勤の頻度を増やしたら、またストレスが嵩んでスポーンと行く可能性も……。

　いや、参った。

　母は、「そういう日もある」と言う。

　そうかな！？　私は、こんなことは初めてだよ！？

　とはいえ、戦々恐々として過ごしても何のメリットもないことは確かなので、気にしすぎるのも良くないのだろう。