ふけんぜんな正しさ

 無意識に正しさを求めてしまう時がある。


 例えば、本を読み終えた時。

 服や靴を選ぶ時。

 知らない土地へ行く時。


 スマホを操作する指が勝手に動いている。


 作者のインタビューや考察サイトを見て、やっぱり自分が感じた事は合っていた、あのシーンはやはりそういうことだったのか、とほっとする。

 服や身にまとうものは、自分の骨格や肌色にマッチするか、流行にそぐわないものではないか。

 知らない場所へ旅行に行く時、どれがおすすめのコースなのか、見所はどこなのか。


 別に悪いことをしている訳じゃない。

 情報を選びとる、それを元に選択肢を広げる、新たな発見をする。その行為自体は。

 だって安心するもん。


 でも、時々ふと、自分の輪郭がぼやけるように感じる時がある。

 誰かの感情、誰かの考え、誰かのおすすめ……。

 実際に会ったことも話したこともない「誰か」の情報をまるで教科書みたいに飲み込んで、その通りに行動している時、自分はいったい誰の人生にいるんだろう?


 自分の感じたことに正解も不正解もない。ましてや、他人のそれに自分を重ね合わせて答え合わせしてみたところで、なんの意味もない。


「誰か」の集合体に飲み込まれる前に、まずは自分の感情や直感に耳を傾けてみた方がいいのかもしれない。


 そんな事を思い、時々「傍若無人モード」に突入する。(???)

 「傍若無人モード」突入‼ キュインキュインガシャーン。


 本屋へ行き、気になった本を片っ端からカゴに入れる。本屋でカゴを使うことなんて滅多にないので快感を味わう。

 その後スーパーに行き、普段は値段で気後れするイチゴ(だいちゅき♡)をためらいなくカゴに入れ、栄養バランスを全く考えずに揚げ物の惣菜やお酒を投入していくぅ!


 気分は親がいない時の小学生。

 なんでもやっちゃえ!


 かなり不健全なことをしているし、冒頭の真面目なフリからこれかよ?! って感じだけど、良い。

 爆買いが精神衛生上、そして財布にも良くないことだってわかってる。わかっとるわい。


 だが、それが良い。


 うるせ〜〜!!!!! 知らね〜〜〜〜!!!!

 TONIKAKUTANOSHI

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